凶賊の少年と貴族の少女の出会いから始まる、SF、ファンタジー、アクション、そして人々の心など、様々な魅力にあふれた作品です。
シャープで磨き込まれた文章で紡ぎ出されるのは、新旧の技術や文化が共存した、アジア風の世界での物語。
それは独特の世界観なのに、くっきりと映像やにおいが浮かび上がってくる。そして序盤からぐいぐいとその世界に引き込まれていきます。
濃密な時間の中で次々と展開される出来事。心理戦にはらはらしたり、展開に驚いたり、時に頬が緩んだり。
私がこの作品に惹かれたのは、物語の面白さ、文章の美しさ、個人的な好みに突き刺さった世界観、そして、登場人物一人ひとりの「人物」としての奥の深さ、心の複雑さです。
人物一人ひとりが抱える心情が繊細に丁寧に描かれているから、会話のひとつひとつに、彼らの心が溢れている。心が溢れているから、読み手の心が揺さぶられる。
それぞれの人物が、ただカッコよかったり、かわいかったりではなく、奥行きがある。その奥行きを味わうのも楽しいのです。
予想できない展開や、登場人物達のこれからに、目が離せません。
毎週土曜日朝の更新が、凄く楽しみです!
何にって、この作品の圧倒的な面白さと筆力にです。
カクヨムにいるのは(私と同じく)書いてる人ばかりだと思いますが、まずこの作品を読み感じるのは、己の力量の足りなさと羨望になるのではないでしょうか。
それくらいすごい、磨きぬかれた文章のリズムと、あっという間にぐいぐい惹きこまれるストーリーテリング。
正直に申し上げて、作品の冒頭部を読んだ段階で書き手としての私は悲鳴を上げていました。「なんじゃこのすごい作品は!? わしのなけなしのプライドが無くなるだろ!」と。
しかし同時に、長年読書にいそしんできた読み手の私が「これを読め。間違いない」と狂喜乱舞したのも事実です。すごいものを見つけてしまいました。
お手軽なweb小説にはもう飽きたという方に推せる作品です。
本屋で売られているクオリティを欲する方にこそ、おすすめしたい作品でもあります。
なにが凄いかは読めばわかります。ぜひご一読のほどを。
現代世界と、ファンタジーと、SFが入り混じったような、独自の世界観の中で繰り広げられるストーリー。まず、この世界観だけでも、一読の価値があります。
月並みな言い方ですが、ストーリーと文章の練りこみのレベルが高い。説明しづらいですが、ただの「やりとり」を表現するにあたっても、その背景とか、心理とか、描写をきちんとしているから、納得できて、その世界に入れていく。つまり、変に引っかかるところが無いんですね。これは、すごいことです。
現在、まだ連載中ですが、これほどしっかりと、世界と、物語を描ける小説は、なかなか無いと思います。ぜひご一読を!
第二章が終わったところ、物語はまだ続いています。
とにかく文章がうまく、リズムがいいです。だからこそあっという間に世界に入り込んでしまいます。
舞台は現代、アジアをモチーフにした架空の世界でしょうか。貴族の娘が凶賊と呼ばれるマフィアに家族の奪還を依頼して…という内容ですがとにかく面白い。それに文章を追うことが楽しく感じられるのです。登場するキャラクターも魅力的で、ミステリーの要素をちりばめながら、物語はグングンと進んでいきます。
アクションファンタジーとタイトルには書きましたが、それにおさまらない強力な独自性があります。その独自性を支える「物語を語る力」に満ちた完成度の高い小説でした。
タイトルと序章に「神話」の要素が取り込まれているので、「異世界ファンタジーなのでは?」と思いながら本文を読み始めると……
いきなり迫力ある格闘シーンに引き込まれる。
そして、一癖も二癖もある個性的な登場人物が背負う物語に魅きつけられる。特にヒロインが清楚で可憐、それでいて、芯の通った頭の良い女性として描かれているのが好印象。
背景となる不思議な世界観。中国マフィアを思わせる一族は、残忍かつ狡猾でありながら驚異的な美貌を誇る、という設定は乙女心をときめかせる要素ともなり得る。
階級社会での様々な群像劇が繰り広げられる中、マフィアの末っ子である若者と貴族の娘であるヒロインの焦れったいほどの純愛に感情を揺さぶられ、禁忌を繰り返す謎の組織の不気味さに背筋を凍らせ……
これでもか、と言うほど娯楽要素が詰め込まれた物語は、流れるように美しい文章で語られる。まさしく「シンフォニア」の名にふさわしく、様々な音が共鳴しながら創り上げられる深い楽曲に耳を傾けるように、物語の世界に浸って頂きたい。