第12話 移転前夜。
物件の受け渡しも完了した11月下旬。引っ越しを月末に行うため、そのまえに最後の作業を行いました。
ひとつは一階床のタイルカーペット張り。
これは相真工務店さんに作っていただいた木の床のうえにタイルカーペットを張る(正確には敷き詰める)作業です。
いろいろと調べてみたところタイルカーペットを張るのはさほど難しいことではないことがわかりました。
とはいえ、なにぶん未経験のことなのでタイルカーペットの発注だけは慎重に行いました。
タイルカーペットは元々裏面に接着剤がついてるものやあとから接着剤をつける方法などがありますが、張り替えなど今後のことを考えるとなるべく木の床を汚したくなかったので裏面に滑り止めのついたものを選びました。
これが正解だったようで実際の作業は思った以上に簡単かつキレイに仕上げることができました。
もうひとつは二階の追加塗装です。
これは以前塗装した際、マスキングしたままだったり塗料がはみだした箇所の補修ほか、まだ未塗装の柱やあとまわしにしていた階段周辺の塗装を行いました。
これらの作業はすでに経験済みなので段取りよく、効率的に進めることができました。仕上がりも以前よりはキレイです。これは経験のたまものです。
こうしてリフォーム作業をすべてを終えました。あとは引っ越し作業のみです。
今回わたしたちは引っ越し作業も業者に依頼せずに自分たちで行うことにしました。
さいわいにして引っ越し経験豊富なスタッフがいたため効率よく進めることができましたがいかんせん文系企業のわたしたち。身体が悲鳴を上げながらの作業となりましたが普段こうした共同作業を行うことのあまりないわたしたちにはいい経験でした。新しい職場に愛着を持ついいきっかけにもなったようです。
元とうふ屋を事務所にすると決めてからの約二ヶ月。
問題は山のようにあり、不慣れなことばかりで大変でしたが、次第に知恵と勇気、アイディアと気持ちがあれば多くのことはなんとかなるんじゃないか。そんなふうに思えるようにもなりました。
今回、謄本登記の書き換えなど法人移転の手続きも司法書士に依頼せずにすべて自分たちで行ったのですが、そうしたのもひとえにこうした経験で得たほんのちょっとの自信が背中を押してくれたからでした。
こうしたことの積み重ねを経て、わたしたちは移転と設営を終えた翌日から、わたしたちはこの元とうふ屋で業務を再開しました。
とくにトラブルもなく、寒かったことをのぞけばおおむね快適に業務を行うことができました。
リフォーム以前の状態を知るひとは現在の様子に大変驚かれたようで「ちゃんと事務所になったね」と感心してくださいました。
その反面、以前を知らない方々はおおむね「思っていたより普通……」といった様子で、訪れる方々の反応をひそかに楽しみにしていたわたしたちはちょっと肩すかしをくらったりもしました。
でもそれはリフォームを無事に終えられたからこその反応なのだろうなと思っています。
なにせここで日々働くわたしたちでさえ、もはや以前の、廃屋同然だったあの状態を忘れつつあるくらいなのですから…。
なにはともあれこうしてリフォーム経験のないわたしたちの事務所移転が終わりました。
今回の移転でわたしたちは「なんであっても自分たちでものを作るのはおもしろい」ということをあらためて実感することができました。
今回、このコンテンツを作成するにあたりファイル名を「diy_html」にしたのはそういう理由からです(WEBコンテンツ掲載時)。
diy、Do It Your Self。つまり「自分でやる」です。
自分たちでやる。自分たちでやれる。自分たちでやれるからこそひとと一緒にやる。
会社設立から現在まで本や映像などを作ってきたわたしたちにとってこのことを再確認できたのは大きな意味がありました。
会社設立13年目の年。わたしたちは三鷹の元とうふ屋に事務所を移転しました。
この事務所はまだまだ完成ではありません。
あれこれ補修したりする日々は現在も続いています。
それはこれからもずっと続いていくことでしょう。(完)
事務所は三鷹で元とうふ屋。 大塚ギチ @otg
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