衰退していく企業の革命的発明スライム

@boko

第1話商品の価値とその実用性

当会社の新製品、低反発スライムクッション。過去に存在する低反発クッションとは全く違います。まず、あなたの体に合せて形状変化をして無重力空間に居るような不思議な感覚を味わう事が出来るでしょう。

 まずはあなたからフリーダイヤル……。

 『とあるテレフォンショッピングから流れた胡散臭い商品説明。』




 『無重力空間に居るような不思議な感覚』殆どの人間が重力のある元でしか生きたことがないのに共感なんか出来るのか?それがこの商品紹介をみた際に最初に抱いた感想であった。 きっと、体験したことの無い感覚だからこそ確かめたいと購入者達は考えたのであろう。

結果スライムクッションは社会現象になるほどに売れた。


「なぜ売れたのか信じられない。」心の中で文句を言っているが、ある時スライム製品の体験会をしていたので試しにスライムクッションに座ってみると、過去に存在していたクッションとは違い滑ることも無く柔らかいゼリーに体を乗っけたような不思議な感覚が味わえる。

 全国で展開される体験会、体験者による感想。口コミがヒットして売れた。巷では「違和感が一切ないクッション」だの「座っている感覚はなく宙に浮いているような不思議な気持ち」だの色々な感想が出てきて、更に売上を伸ばした。

そこから派生してスライム枕、スライム敷布団。数々のスライム商品が発売していく中で数々の企業も同じような商品を作っていった。

 もうその頃になるとスライム商品を複数使用する『スライム族』なんて言葉も流行り始めた。

 一度流行すると段々と人気がなくなり消えていくか定着するかのどちらなのだがこの商品は定着してしまった。

 最初の文句を言っていた人間の殆どがスライム族の一員になったり商品を売ったり、スライムは日常生活の用品には必要不可欠なものになってしまった。

 スライムクッションは実際に腰の負担を少なくしてくれるしスライム布団も疲れが取れる。私も途中からは喜んでその商品を使用していた。

 だがここからが予想外な出来事。

 電車の座席のスライム化。

 学校の椅子のスライム化。

 挙句飲料用のスライム、スライムスライムスライム、どんな製品にもスライムというワードが追加されていきスライム商品はどんどんと増え続けていった。

 商品が大量に発売しても売上を伸ばし続けていたスライム商品だが問題が発生した。

 このスライム商品で自慰行為にふける人間が大量に発生したのである。触るとゼリーより柔らかいのに形状が砕けないこのスライムであるものは体に入れたり、あるものはこれを犯して性欲を満たしたり。いわゆる新たなジャンルの誕生である。

 これにより出生率は圧倒的に低下、超少子高齢化社会に向かっていった。

 それで終わるならまだ救いようがある。だが人間とは哀れなもので、これで終わらない。

 スライムを使って自慰行為をしていた人間にある変化が現れた。思考能力の低下、感情制御不可能、言うならばストレスが溜まりやすくなっていった。

 この現象は社会問題になっていった。殆どの中高生はスライムを使っての自慰行為に勤しんでいた為に人格が崩れていった。

 ある学校ではストライキ、ある学校では不純性行為、乱交、売春。一度やってしまうと抵抗がなくなり、更に周りの人間全員が行っているとなると抵抗なんて物は無くなってしまう。

 誰かも判らない子を妊娠する者。性行為をした年増から金をせびられる者。そういった出来事が数々発生して町は混乱。市民は暴徒。人々は錯乱。日本は崩壊仕切っていた。


 ヤバイです。ヤバイですわ。ここで今までの出来事が嘘で有るかのように皆さんの人格が元に戻っていったのです。少しずつ減っていく事件。不思議な事に日本で発生した事件が段々減っていったのです。

 まぁ、不思議デス。なぜでしょう。

 なぜ皆様荒れていたのに、なぜあんなにも狂っていたのに穏やかになってしまったのでしょう?

 答えは簡単デス。皆様人間が娯楽用品として使用していたあのスライムさんですがあれって寄生生物なのですよ。簡単にいえばあなた達が私達に触れ合ったり、体内に入れたりした時に私があなたの脳内に侵入してバグバグとあなたの人格を壊していったのです。

 最初は辛かったでしょう(><)。

私達があなた達を支配しようとしていたから勇敢なあなたの体は抵抗した。

 でも人格は腐ったそれでしたのであなた達は自慰行為を辞めず。生殖行為を辞めず、暴漢を辞めず。はぁ、それさえなければ私達があなた達を完全には支配出来ませんでしたのに。

 気取って語り手を行っているこの男だって自慰行為行ったから現に私という存在に支配されているの。

 ふふっ、楽しいわでしょ。今のアナタは私に食べられている事に快感を覚えているはず…。

 これから私達は少しずつあなた達を食いつぶしてあげるから楽しみにしていてねっ❤(ӦvӦ。)


 だが不思議な事にある日を堺に町は静けさを取り戻し昔の出来事が無かった様に皆学校に行き授業をして恋愛をして…。

 私は少し前まであった出来事が嘘では無いのかと思う。

 そう思いながらタバコに火を着けた。

 『っ、頭が少し痛む。最近タバコを吸うと頭痛がするようになった。それでも俺はタバコを吸うのを止めない。』

 副流煙を撒き散らしながらそんな事を考えていた。


 ね?これだから人間って馬鹿なのよ(*^^*)

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