【あんぱんは】焼却炉の中で拾った【昼飯だった】00
最後の最後で爆弾発言に激流をおこすスレをみた。
1000をゲットできたことににんまりと笑顔を浮かべると目の前に座っていた世界の抑止力対策本部の役員であるという女性の頬がほんのりと赤くなった。全くを持って興味はないのだが。
世界の抑止力対策本部、その応接室。ふわふわと座り心地の良いソファーと木造りのローテブルの上に置かれた紅茶。その水面に映る顔は3つ。俺と、コトリと、本部の女性だけ。
赤いカーテンだけが唯一目につく、無駄な装飾の省かれた無機質と言ってもいい部屋で、俺とコトリは話を聞いていた。
「それで、紋章師になっていただけるのでしょうか?」
「はいって言った場合、こいつらのアフターケアーって俺に任せてもらえるんですか?」
「は?え、ええ。よろしければ。こちらこそお願いしたいくらいです。もし望むのなら全く関係ないところからも始められますが」
「じゃ、いいえって言った場合は?」
「こちらの信用のおける紋章師に依頼します」
「だって。あんた、それで平気?」
「へ・・・あ。だ、大丈夫だ。・・・だいじょう、ぶ」
コトリを見るとあちらこちらに視線を漂わせて決して俺を見ようとはしなかった。
その泣きそうな面でなにが大丈夫なんだよと頬をつねってやりたい衝動に駆られたが、ぐっと我慢する。
俺は紋章師になろうがならまいがどっちでもいい。ただコトリを助けると決めた時から覚悟は決めていた。俺はコトリを助けたかったから、そのために紋章師になってもいいと思っていた。
だからここで決めるのはコトリだ。俺じゃなくて。
「本当に?」
「・・・できる、なら・・・その、そなたの迷惑にならないなら・・・そなたが、いい」
「わかった」
「なっていただけるのでしょうか?」
「はい、よろしくお願いします」
「では手続きを・・・」
話し続ける女性職員の話を半分に聞きながら、泣きそうな顔で「後悔でいっぱいです」と言わんばかりの顔をしているコトリの背を叩く。びくっとしてうつむきかけていた顔をあげたコトリの頭を撫でる。
「頼ってくれて、ありがとな」
ほろり。コトリの頬に涙が伝った。
【あんぱんは】焼却炉の中で拾った【昼飯だった】 小雨路 あんづ @a1019a
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