最終話まで読みました。
とにかく完成度の高い長編で、医療サスペンスのような一章から始まり、ファンタジー、SF、人間ドラマと怒涛の勢いで話が進んでいきます。
とにかく構成が緻密、効果的な伏線の貼り方と、以外な展開、どれをとってもお手本のような作品だと思いました。もちろん文章も読みやすく、キャラクターにも血が通っています。そして最終章では感動的な場面があり、読後感もとても希望に満ちたいいものでした。これだけ書くのは大変だったろうと冷や汗が出るくらいです。
なにはともあれ本格長編、章の区切りもよく、親切な各章ごとのあらすじ付き、ゆっくりと楽しんでみてはいかがでしょう。
敷かれたレールの上を、それでも懸命に医師という人生を送ってきた主人公。だが、どうしても忘れられない夢があった。それは文章によって人に感動や安らぎを与えたい、つまり作家になりたかったことである。
読了後、今さらながら自分の語彙の陳腐さに苦笑しております。
「面白い」「感動した」「物語に引き込まれた」「タダで読めた」などの言葉以上に、この心の叫びを文字にできない歯痒さどうお伝えすればよいのでしょう。
なぜ星がこれだけなの?
ここに、こんなに素晴らしい作品があるのに。
少し長めだから? それともラノベじゃないから?
本当に感動できる小説に、長短やカテゴリーなど関係はありません。そんなものは「おとといきやがれ!」と啖呵を切ってやりますよ。
緻密な構成、張られた伏線、リアリティ溢れる文言、そして何といっても共感できるキャラクターたち。
どれもが書き手によって見事に配置され、結果として素晴らしい作品に仕上がっていると思います。
まずは一話目を、騙されたと思ってお目通しください。
寝食も時間も、恋人とのデートの約束さえ忘れてこの物語に引き込まれていきますから。もし恋人からクレームがついたら、どうぞお二人でお読みください。読み終えた後、もっと仲良くなれますから。
請け合います!
一体どこにこんな作品が隠れていたのか!
作品数が多い作者様のトップページからあふれてしまっていて、気づかれにくいことも原因の一つかと思われる。
総文字数もかなり多い長編だが、のめり込んでいるとあっというまに読んでしまう。周りが気にならなくなってしまうくらい世界に入り込んでしまう作品です。寝るのが惜しくなるほどです。
リアルな描写は実際に目の前で見ているかのような錯覚を起こさせます。映像が勝手に脳内で鮮明に描かれるのです。
読後は、超大作映画を見終わったような充実した気分になれるでしょう。
出だしは説明文ばかりでパッと見には読みにくそうに思えるけれど、読んでみるとこれが不思議に苦にならない。
SF 的な要素を含んでいるのに、現実に起こりうると思わせる緻密なセッティング。
お堅い医療の分野を物凄く分かりやすく描いている筆致。
ベタベタラブラブするような恋愛ではなく、心が寄り添っていくような純粋な恋愛。
信頼できる友人に師。
そしてどこにでもいるようでありながら個性的なキャラクターたち。
どれをとっても秀逸です。普通に本屋にあってベストセラーになっていてもおかしくないと思います。
主人公の、どこにでもいそうな人柄。悲観的な想いを内包しながら、純粋さを失わない強さ。若くてカッコいいという主人公ではありません。それなのに、いえ、だからこそでしょうか。彼の心情にシンクロしてしまうのは。
好みはあるかもしれませんが、読書好きならぜひ読んでみることをおすすめします!
★が3つしかつけれないのが歯痒いです。もっと読まれるべき作品です!