第2話 思い
子供の頃から自分はおかしかったのかもしれない。自分はみんなより脆く、張り合いのないつまらない人間だった。そんな自分はダメだからみんなと同じようにならなきゃいけないと思ったり。でも、自分のこともわかってよ、とついぶっきら棒になったりしたものだ。自分の中で有名なエピソードはガードレールの話かな。一人で家に帰るときに錆びついたガードレールにいつも思いをはせていた。これを作った人は今でも生きているのかな、本当にその労力は将来報われるのかな。でもそんなこと誰にも言えない。言おうと思っても口ごもってしまう。子供らしくないのだから。
そのまま大人になっちゃったのかな、俺は。競争の中でもまれて強くなろうと思ってもどうもうまくいかない。自分の粘膜のような部分に触れられたら病気になってしまう。心の病気だ。そうだ、心の病気なのだ。今も昔も。そう割り切ったところで人生が充実するわけでもないのだ
もう日も暮れてきたな。空想とかにふけるのは昔から好きだったしよしとしようか。たとえ夜10時までここにいようと家には誰もいない。せいぜい今日は帰りが遅いな、と俺の帰宅音を聞いて思うだけだ。ただそれでいいのかもしれない。
ただいま、俺のガードレール。こんな僕でごめんよ。今日も疲れをとっておくれ。
ある男 坊ちゃん @young
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