なかなか

面白かった。死の観念的な香り以上に、生身の肉体の傷の香りの充満しているところが良かった。そのため、居候の女の子の肉感描写、柔らかい触感などは不要だったのかもしれない。切れ味がそこで中断されているような印象を、少なくとも僕は受けたので。

しかし、結末からして傷の世界から脱しようとしている主人公が垣間見られるので、それを考えるとアリなのかもしれない(もしそれだと、どうして脱しようとしている世界のことを執拗に描写しているのかがわからなくなるが……)。