オチているのかオチていないのかもやもやした最後だが、きっとオチているのだろう。おそらく狙って書かれたものではなく、物語を進めていくうちに自然と現れた結末なのだと思う。それほどストンとした終わり方だった。
しかしそれだけじゃなく、最初から最後まで徹底して主人公を突き放しているその書き方が心地良かった。9歳の少年とその周りの状況を淡々と著(しる)していくこと。なかなかできるもんじゃない。個人的にはカフカを思い出した。彼もまた、なんと名付けたらいいのか、「事務的な文章」を著す才能の持ち主だった。この作品に関してもほぼ同じで、物語よりも先に、その方法がまず目に焼きついた。
そのぶん、赤裸々なことも、他のものと同じ立場で率直に語られるものだから、読んでいてすごく恥ずかしくなってきてしまった。