第3話 マリー・レポート
第7世代担当メカニック主任。マリー・イーストン中尉
赤毛のショートヘアーと、190センチある長身の女メカニック(技術屋)は、管制室で第7世代『アルクビエレ』による人類初AF単独機大気圏離脱及び大気圏再突入を見届けた。
今、彼女の手には相棒の第3世代AF用大型工具『フレーム・レンチ』が握りしめられている。
管制室に詰めているオペレーター達は皆、起動実験の結果に喝采を挙げ、恋仲の男女のオペレーターには抱き合う者も居る。
格納庫の外にある広大な滑走路では、アリシア・リード少尉が白いワンピース姿で基地の管制室にも手を振っているのが視えた。
何故、拍手が鳴り止まないのだろう?
何故、歓声が途絶えないのだろう?
何故、ーーアリシア・リード少尉は死亡していないのだろう?
起動実験。それは、USAF演習施設でメインエンジンの起動を確認し、各可動部の可動限界点を測定し、『アルクビエレ』のオプションパーツである『ウイング・ユニット』が正常に機能するかの確認を行う、第7世代『アルクビエレ』の活動限界点の測定だった筈だ。
専属パイロット搭乗の元、管制室から指示を出し、各テストの数値を測定し、その結果を、限界予測値まで近づける為に、パイロットの操縦訓練及び、第7世代担当メカニック、マリー・イーストンによる機体の改良整備を行う。それが、今回の起動実験だ。
だが、この結果は何だ?
ワンピースを着た少女がシャトルもロケットも使わず単独で宇宙へ行き、無傷で帰還した。
「現行機で第3世代だ。何故、第7世代何てAFがこの基地に四機も置いてある」
Kronos ぼっち @haruno
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