王道

叶 遥斗

 




すべては

仕方ないことだった



だって世界は

まだ幼子なのだから、



だから

それらは

いとおしくいつくしむべき

『悲劇だとしても』


だれかが

ちゃんと

見守り支え、

導いていかないと






――そう


苦痛がともなう

それを


無償の愛とはいわない



ましてや

無限であるはずもない



すぐに枯渇して

尽き果て

死んでいく力だよ




だからこそ


必要なんだ

君が




僕が力尽きれば

君がいてくれる


君が力尽きれば

僕がそばにいる



そうしてはじめて

成り立つのが世界だ




______






幼子は求める


求める求める求める



渇いた土に

必要な水を

与える


瓶の水は

減るというのにだ



雨が降るのを

待つばかりで

畑が枯れると

人々は憂え、


何が育つというのだろう



______





世界は求める


求める求める求める



救済の勇者を



苦しみから

早く救ってください、


そんな悲鳴や呻きなら

どこにでも転がっている




私にはできない…


どうせ自分なんか…


お前はいいよな…



力を出しもしない内から

諦めてしまう幼子


それでは

誰が勇者を助けるのだろう




皆が幸せである世界に

変えたいのではなかったのか



______





「折れない剣などない、だからこそ。折れないように守る心が必要なんだ」




戦場にあって

戦い続けた者が


折れた刃を

拾い集めて呟く



かつて

刀鍛冶が

精魂籠めて打った鋼、


こんなにも冷たく

変わり果てたが





「まだ戦えるだろう?」




戦場から持ち帰る者がいて


再生させる匠がいたなら



剣は折れても

死にはしない



______





「バカの足りない世界は終わってる」




くだらない知識を

活かせないのだ



まず

動いてみなければ

知識は自分のものには

なりはしない




「そう。だから『必要悪』を始めようじゃないか。これは自分の正義を貫くための自分との戦いだ」







「一緒に来るか……?」




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