「彼女」の得体の知れなさに、読み進めるとともに恐怖を抱き、逃げ出したくなった。「かわいそう」――そのセリフは透き通った女の声で、私の耳にも聞こえるかのような錯覚を何度もおこす。それでも私は、最後まで止まらずに読み進めた。結末の残酷さに絶望したが、その中には戦慄を覚えるほどの美しさがあった。悲しい、けれどこんなにも美しいホラーを私は知らない。
社会に適応し切れない青年の物語。ホラーで残酷ですが、その背景に哀しみと愛が凝縮されている物語です。青年のやり切れないほどの切なさが、文体からひしひしと伝わってきて、読んでて心が痛くなります。しかし、文章そのものはとても読みやすく美しく、すらすらと頭に入ってきます。最後は何とも言えない余韻が残る作品だと思います。
人がひたすら殺されていく話なのに、いっそ美しいとすら感じてしまうのは何故なのでしょうか。純粋で、哀れだからでしょうか。魔力がある作品だと思います。
戦慄をおぼえました読んでて震えました