「はぁ、はぁ……まってよぉ」


 あどけない声が住宅街に響く。がじゃがじゃと鳴るのは鞄が擦れる音だろうか。男の子は息を切らし、先を走る女の子の背中を追いかける。


「まったく。だんしなんだから、もうちょっとはやくはしることできないの?しにまるくん」

「そのよびかたやめてよ。あらやちゃん。ぼくは西丸にしまるだよ。そういうの、なんかむずむずして、いやなんだ」

「じゃあさ。そっちもちゃんとわたしのことをなまえでよんでくれる?あらやじゃなくて、新谷にいやよ」

「えっ。そうなんだ。ごめん、しらなくて。おうちはちかいけど、かんじがよめなかったや。こんどからきをつけるよ。……にーや、ちゃん?」

「にーやじゃない。に・い・や!ちゃんとはきはきいってね」

「うん。にいやちゃん!」

「な、なによ。にしまるくん……」

「ん?はやくいこ?」

「…………ばか」

「えーっ!?ぼくはばかじゃないよ!」

「ふふっ」


 二人の少年少女の声は、晴れ渡る空の中へと元気に溶け込んでいった。


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死なない少女、『死』まで残りXX:XX 一於 @nishiti_14

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