『 終』タイム・セット・アウト



 ――いかがでシたか?


 いやはや、随分と長く語ってシまいまシて。もうこんな時間になっては。いけませんね。足、痺れてオリませんか?……結構、結構。始めに崩シていただいて良かったデス。


 私も忙シいはずなんデスがね。まぁ、楽シんでいただけたならば何よりデス。


 死なない少女の正体に死神少年は最期まで気づけなかったという結末でシた。私にも難しい問題だったでシょう。嗚呼、恐ろシや。我々がニンゲンに対して言う台詞ではごザイませんがね。


 ほう、ほう。ふむ。私が“死ななかった”と初めに申したことに、異議を唱えたいと?クっクっク。何も間違ってはオリませんよ。ただ、敢えて申し上げるならば、私は“死ななかった”と申したまでデス。時制表現については、少シややこシクなります故、割愛させていただきまシょう。


 はてさて。死神少年の物語はここまでになります。長いお時間を頂戴致シまシた。私のたどたどシい台詞回シは、癖なものでシて。温かい目で見ていただけたならばと存じ上げます。


 ……そうと言えば。


 私は死神デス。

 今、貴方は私の話をはっきりとお聞きになられておりまシた。イエイえ、実にありがたいことデス。ありがたいことなんデスが。死神とシて、ニンゲンからは死神と出遭ったいう記憶を消シ去らなければなりません。


 貴方は見たところニンゲンのようデス。死神ではありませんね?こうして耳を立てて、言葉も理解シていらっシゃった。見たところ、健全な生活を送っていらっシゃるようデスが。あらまぁ。どうやら、私の失態で刈り取らなければなりませんね。


 ククク。痛くはシませんよ。これでも私は数百年この生業を続けております。痛みもすぐに、忘れますからね。


 おや?おやおや。私の方にも、来客デスかね。丁度良いタイミングでシた。こちらもすぐに片シまシょうか。


 ではまた、お遭いシまシょう。




 お後がよろシいようで。




      


      


      


      


      


      


      


      


      


      


      


      


      


      


      


      


      


      


      


      


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