ノイズキャンセル・シンドローム

作者 乙島紅

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★★ Very Good!!

乙島さんの作品(ブラクロ)を今までも追っていましたが、今回短編も投稿したということで読ませていただきました。

シンドローム、という言葉は医学用語だそうです。
雑音があるからこそ今の自分たちの生活がある。
雑音がない世界はとても素敵で、だけどどこか狂った1つの病のようで。
病を抱えた自分の世界は果たして幸せなのか?
そんなことを深く考えさせられる作品でした。

今までのファンタジーとは大幅な路線変更。
現代の生活だからこそ自分の身にも起きうる話で、背景もわかりやすく、今まで乙島さんの作品を読んだことのなかった人にもとっつきやすい話だと感じました。

★★ Very Good!!

 夢か現か……

 世の中には当たり前に溢れていて、そして邪魔だけど普通に受け入れている物はたくさんあるはず。

 もしその一つが我慢出来ないほどに煩わしく、そして欠けた時……
 それは現実のままとして受け入れられるのか、それとも受け入れられないのか……

 読んで頂きたい作品です。

★★★ Excellent!!!

無駄に情報が勝手に侵食してくる昨今で都合のいいとこ取りして究極の引き篭もりを決め込んだ主人公とカブる人は結構いるかも。
人の温もりに気づいてノイズと評していた現実を取り戻そうとしたけど時すでに遅し。
怖いですねぇ。
俺もたまに妙にリアルで現実と区別の付かない夢を見るしねぇ。
とってもよく染み入ってくる社会風刺でした。

★★★ Excellent!!!

 タイトルから勝手にホラーと勘違いして敬遠していたのは本当に勿体なかった、とまず反省した。
 不機嫌な青春群像劇かSFかと思ったら、いやいや、全然違う。(現代ドラマってちゃんとジャンル書いてあるじゃん、ごめんね)非常に優れた短編、秀作である。

 生き生きとした会話とテンポ良い展開で、主人公の後を追い掛けながら読者が追体験する世界は、架空世界のようで、でも理想世界じゃない。 
 特に第2話はドキドキハラハラしながら読んだが、最後はそう来たか!と意表を突きながらも、とても明るい未来を予感させてくれる後味の良さは作者の非凡な才能を醸し出しているのだろう。
 既に秀逸なエッセイでその片鱗は感じていたが、他に大長編も書いておられるご様子、今度時間を作ってそちらも読みに伺いたいと思った。