絶望少女のドールシアター10

「ってことで三人でエタマジしよっか」


 そう言うわけで、私と恵とすみれの三人でエタマジをすることになりました。最初すみれは私と恵が似ている事に驚いていましたが、お互いそっくりだから仲良くなれたと言ったら納得してくれました。


 場所はファストフード店でコーヒー一杯でスマホの電池が切れるまで頑張ります。

 最近私はエタマジで一つの事を学びました。


 事前予習無しで適当なクエストに入って理不尽に死ぬのが最高に楽しい事です。


 私が無茶をすると恵が切れてすみれが宥める。私たち三人は中々うまくいきそうな気がします。


 クエスト連続三回失敗(原因は全て私)。それでもめげずに私たちはゲームを攻略していきます。


 しかし時間は待ってくれません。


「ごめんちょっと用事あるんだ」

「用事って何? 私もいこうか?」


 すみれちゃんのお誘いは嬉しいのですが、これは私一人でいかないと


「いえ、義妹を迎えに行くだけですので」

「みのりは筋金入りのシスコンだから」


 そう言うと恵はまたスマホに視線を向けました。


 大杉志乃は私の妹です。イマジン最高。土曜日はピアノの稽古で私がいつも送り迎えする事になっております。


 ピアノ教室で友達がいるようでよく私に友達の話をしてくれます。

 その友達を早く紹介してくれますように。

 そんな事を考えながら歩いていると。


「楽しそうだな」


 私はシナリオライターと言いました。

 私は人形劇と言いました。

 その中で私は人形役でした。

 そして足りない物が一つありました。


「初めましてですか? それとも久しぶりですか いえいえ、やっぱり初めましてでしょうね」


 本物の鬼瓦ケイです。

 恵がケイのフリをしていたのと違って本当に不良っぽいです。


「もしも君がいなかったら私はあのまま妄想の世界に閉じ込められていただろうね」

「褒めすぎですよ。恵だっていつか気付いていたはずです。自分でも良いと。自分の事を好きでいてくれる人もいると」

「だと良いんだけどな」

「それでケイさんはどうするんですか?」

「私はイマジンで困ってる人がいないか日本中を放浪するつもり」


 せっかく良い高校通っているのに勿体ない。


「ミカエルみたいなパターンが他にもあるかもだろ。私はそれを阻止したい」

「それを言うの私だけで良いんですか?」

「恵と美春に言ったらついて来ちゃうだろ。これは私の戦いなんだ。助けてくれるのも友達なら、見守ってくれるのも友達だと思うぜ」

「そうですね。ついていくの面倒ですしロリ要員は当面志乃ちゃんで足りているのでご自由にどうぞ」

「みのりがメグの分身であるってのが信じられないな」

「環境の差って奴じゃ無いですか?」

「まぁ本当は私も少し弄ったからな」

「そんな気は少ししてましたよ」


 そう考えないと私でもどうしてこれだけ差がでるのか納得できませんからね。


「まぁ困ったら電話してくれ」

「嫌ですよ。それって非常事態じゃないですか。私は怠惰に生活したいんですから」

「やっぱメグと全然ちがうな」


 そう言ってから笑うとケイは人混みの中に消えていきました。

 さて、志乃ちゃんを迎えにいかないと、あの子は少しでも後れるとぶーたれますからね。

 

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妄想遊戯のガールズスキャット 落果 聖(しの) @shinonono

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