学校の教科書に掲載していい程の秀作。なのに評価されない理由は明白

いまや世の中、軍艦や化学記号、国家まで擬人化や女体化されている時代である。
だが、そのほとんどは特徴が設定や容姿に反映されているだけで、ストーリー化されるケースは少なく、一部を除いて素晴らしいと思われるものは見当たらないように思える。

それに対し、この無名の小編は非常に素晴らしくまとまっている。学校の教科書に掲載してもいいほどの内容だと思う。
醤油に人格を持たせ、生まれた商品の価値、その「人生」の中で使われる喜びや感謝を丁寧に描写している。
作者は女性なのだろう。女性ならではの優しい感性が作中に見受けられ、読後に思わずため息をついてしまった。
結末の感動も素晴らしい。「よかったなぁ!」と思わず声をかけたくなる、また醤油に生まれて来いよ、と思わせるこの人の創作力はプロ作家として通用するのではないかと思えるほど。
この作品を読んだ人は日用品や食品に今までとは異なる目線を持つことだろう。

では何故評価されないのだろうか。
理由は簡単でタイトルが興味を惹かせないのである。
作者に厳しいことを言って恐縮だが、これほどいい話を書いたのに読まれないのが余りにももったいないので敢えて苦言を呈したい。
カクヨムでは、「タイトル」が非常に重要である。挿絵などを一切排除しているカクヨムにおいては★以外で読者の興味を惹く場合、まずここを見る。
近年、「助けて!ブラック会社から逃亡した俺を上司が異世界まで追いかけて来やがった」みたいに、やたらタイトルが長いラノベが多いのも実にこんな事情を反映しているからである。

もし、出来るなら内容を反映したタイトルをもう一度考えて欲しい
それから、こんな温かい視点でこれからも作品を執筆して欲しい


追記:オレ様のレビューが呼び水になったのか(自慢じみて恐縮だが)その後たくさんの感想や評価をいただけたようです。よかったよかった!

その他のおすすめレビュー

ニセ梶原康弘@アニメ化企画進行中!(脳内さんの他のおすすめレビュー290