第6話
ー初めての人に会いましたー
朝になって街を目指した
霊峰とは言っても麓にはしっかり道が存在した
街道を辿って街を目指す。旅の間にエリーナにいろいろ質問した
「なぁ街っていうのはどういった感じなんだ?」
(街ですか?そうですね...基本的に中世ヨーロッパを想像してくれたら、当てはまると思います)
「中世ヨーロッパってことは王様や帰属がいるのか?」
(もちろんいますよ、それに奴隷もいます)
やはり貴族もいるのか...あまり関わりたくないものだな
(貴族とはあまり関わらない方がいいですかね、権力を傘に生きてるような人たちが多いですから)
どの世界でもそういう人間はいるらしいな
「ところで奴隷はどんな感じなんだ?こっちの世界じゃいないからな」
(奴隷には犯罪奴隷と借金奴隷というのが主で、他にも孤児や人さらいによる奴隷も存在しますね)
「ありがちな感じだな。奴隷の扱いはどんな感じなんだ?」
(そうですね、家事をさせたり、警備をさせたり様々です。奴隷に対する態度を人によりますかね?あ、もちろん性奴隷もしっかり存在してますよ?)
「まぁ奴隷の扱いなんて人それぞれか」
(あれ?性奴隷に興味無いんですか?さすが、高2で童貞を捨て...)
「あーあー聞こえなーい!」
とんでもない爆弾放ちやがった!やっぱこんな奴に話すべきじゃなかったのか...山にいた時しんみり雰囲気に浸って話した自分が馬鹿だったよ。
(ほんとアレウスさんは性格変わりましたよね)
「だからこれが素なんだよ。それで奴隷は奴隷商から購入するのか?」
(それが普通ですかね、購入を検討してるのですか?)
「まぁ余裕があったらいいかなとは思ってる」
そう思ってるのは事実だ。奴隷だったら信頼なんてなくても裏切ることもないからな!
(信頼なくても大丈夫とか考えてませんか?買ったら大切にしてくださいよ?)
「そんなことわかってるよ。それで今から行くのはどんな街なんだ?」
(アインス大陸には大きな三つの国があって、イリヤ王国、聖ダイス国、ダイダル帝国が存在します。あと小さな国が何個かあるくらいですね。これから向かうのはイリヤ王国領の街ですね)
「全然知らなかったな、先にもっと聞いとけばよかったよ」
(アレウスさんは戦いにしか興味なかったですもんね)
「人族以外にも街にはいるのか?」
(えぇ、基本的に他種族もいるはずです、イリヤ王国は種族平等を重んじているはずですから)
「そうか、なら安心だ。ゆっくり街に向かうか」
色々と話ながら、2、3時間経ってから
千里眼と察知スキルに反応があった
人がモンスターに襲われてるみたいだな
「この先でモンスターに襲われてる人がいる、助けに行くぞ」
(はい、私にも見えてます。早く向かいましょう)
全速力でそこに向かっていくと、声が聞こえ始めた
「おい、護衛対象をしっかり守るんだ!」
「はい!」
「ぐあっ!」
「エイルっ!!」
ちょうど俺らがついた時には戦っていた男の1人がビッグマンティスにやられていた、ビッグマンティスというのはその名の通りでかいカマキリだ。
俺は本当の実力を見せるわけには行かないので体に雷を纏って全速力で近づき手刀でビッグマンティスの足を切る。
「助かった!加勢してくれ!」
護衛の人が俺にそう言った、俺はそのつもりだから、うなずいてビッグマンティスと対峙する。
ビッグマンティスは足がなくなったことに怒り、俺めがけて鎌を振り下ろしてくる。
「遅いんだよ!」
俺は再び雷をまとって手刀を放ち鎌を根本から断ち切る
「ギィッ!ギギィッ!」
緑の体液を撒き散らし、不快音を鳴らしながらビッグマンティスは後ろに退きそのまま逃げていく。逃がすつもりは無いんだがあのまま逃げても、HPは残りわずか、どうせ死ぬだけだから無視することにした。
「ありがとう、助かった」
と、護衛の1人が話しかけてくる
「おい、カイン!エイルが!」と俺が答える前に護衛のもう1人が叫ぶ
どうやら最初にやられた奴がやばい状態のようだ
「どうした!?エイルは無事なのか?」
「.....」
もう1人の冒険者何も言わない、倒れている男を見ると出血がひどい、HPは刻一刻と減っている、今のまま何もしなければ直に死ぬだろう。
「おい、ポーションはないのか!」
「こんな傷上級じゃなきゃ直せねぇし、そんな高いもの俺達は持ってねぇ!」
カインと呼ばれた男が大男と言い合っている、会話を聞く限りポーションというのが存在するらしい。
(あの方は大丈夫でしょうか?)
ここまで黙っていた、エリーナが心配のあまりに俺に声をかける、こういう優しいところはやはり女神なんだろう
「あぁ今俺が助ける心配するな。おいっ、その男を俺に見せてくれ!」
そう俺が叫ぶと2人は怪訝な目をして俺を向き
「なんだお前は!いきなり話しかけやがって!それにいきなり見せろだぁ?見てわからねぇのか!重症なんだぞ!」
大男が俺に向かって叫んでくる、仲間思いなやつなんだろう、でも今はそんなことしてる暇はない
俺は男に何も言い返さず、二人をどけ、倒れている男に回復魔法をかける
「おい!いきなりなにしやがる!」
「まて、ギグス!あれは回復魔法だ!」
「なにっ!?」
ふむ、光魔法は話に聞いた通り珍しいのかもな
そんなことを思っていると男の治療は終わった。そして、俺は二人の男に向かって
「おい!治療は終わった!出血で失った血は元に戻せないから安静にしてやれ」
2人は呆然として俺を眺めてるだけだ、なんだ俺に惚れたか?
(あなたはこんな時でも冗談を言いますのね)
何が悪い余裕な男の方がカッコイイだろう?
(そうですね、ビビリな人見知りなとこが無かったら)
俺が思念でそう返すとエリーナもまた返してくる
そんな2人でふざけているとやっと男の片方が口を開ける
「エイルは助かったのか?」
「あぁ助かったぞ」
「本当か?」
「本当だ、心配なら見てみろ」
そう言うと男の2人は倒れている男の元に駆けつけ、確認している。二人のそんな様子を見てると馬車から一人の男が出てきた。
「すみません、モンスターはどうなったんでしょうか?」
「あぁビッグマンティスか?もういなくなったよ」
俺がそう言うと男はホットした様子で俺に質問した
「ところであなたは?」
「あぁ街に向かっている旅人だ。名前はアレウスという。ちょうど通りかかった時に襲われるところに出くわしてな、加勢したってことだ」
「それはありがとうございます!」
そうは言うと俺の手を握って感謝してくる
やめてくれ、初対面の人にそういうことされるの苦手なんだけど
「す、すみません!もう死ぬと思っていたもので。私は奴隷商を営んでおります、エドと申します」
奴隷商か、てことは中にいるのは奴隷たちってことか
俺がそうやって目を馬車に向けていると
「あの馬車にはうちの奴隷たちが入っています。
商品とはいっても人でありますから、私だけ逃げるわけにも行かず...」
喋ってるうちに段々声のトーンが下がっていく、この奴隷商はとてもいい人なんだろう
(この方は優しい方なんですね)
とエリーナも言っている、今にも泣き出しそうなエドさんを慰めてると
護衛の2人が俺に話しかけてくる
「仲間を助けてくれてありがとう。俺は冒険者のカインだ、横のでかいのがギグス。仲間を助けてくれて本当にありがとう」
「ギグスだ、感謝する」
ふたりはそういって俺に礼をする
「顔を上げてくれ、俺はアレウスだ。助けたのも街を目指して遇残現場に遭遇しただけだから、感謝されるほどじゃない」
俺がそう言うと2人はいきなり顔を上げ
「そんなことはない!もしアレウスが来てくれなかったら俺達全員はビッグマンティスに殺されたいるところだった」
こいつがいきなり呼び捨てにしてきたな、距離感一気に縮めてきたな、おい
俺がそう思ってるといつの間にか復帰したエドさんもこちらに来て
「アレウス様がいたからこそ、私達は生きているのです。この感謝の気持ちは受け取ってください」
そこまで言われて嫌と言えるほど強くないので俺は渋々了承した
俺は助けた礼にと馬車に乗せて街まで一緒に連れていってもらえるらしい、これはありがたい
ちなみに倒れている男も一緒だ、名前はエイルというらしい、目を覚まさないがそのうち目覚めるだろ
カインから聞いた話だが馬車なら街まで二日でつくそうだ。徒歩で10日だから大幅な短縮だろう
馬車の中では暇なので奴隷たちをエリーナと一緒に見 ることにした
馬車の中には奴隷が四人いて、身なりもしっかりしていた、大切にされているのだろう
(ひとりをフードをかぶっていますが全員女性ですね)
「(あぁそうだな、犯罪者には見えないから借金奴隷と言った所だろうか)」
俺はエリーナと念話で話してると奴隷の1人がこちらに話しかけてきた
「あの、あなたが私たちを助けてくれたのですか?」
話しかけてきた女性は赤髪の三十代後半ぐらいであろう女性だった
「通りかけた所を偶然ですよ、あまり気にしないでくださいよ」
そう答えるといきなり泣き出した、他の二人の奴隷も泣いているようだ。焦った俺は
「ちょ、ちょっといきなり泣かないでくださいよ!」
(アレウスさんは女泣かせですね)
エリーナが冗談を言ってくるが、かまってる暇はない、俺が泣くのをやめさせようとすると
「もう私達は死ぬと思っていたんです、ほんとにありがとうございます」
とエドさんと同じようなことを言ってお礼を言ってきた。
やはりビッグマンティスは危険な存在なんだろうか、鑑定スキルを使って調べる気もないのでよくわからない
(ビッグマンティスですか?そうですね、アレウスさんなら余裕ですよ)
とこっちが期待してた解答とは程遠い答え方をしてくる、君の信頼が重く感じるよ、全く。
その後奴隷たちを色々とおしゃべりをした。彼女達は借金奴隷のようだ。
悲しんでいると思ったのだがエドさんはやはりいい人らしくいい環境のとこに売られるらしく、売られ先も決まっているだとか、そうこう話してるうちに街につきそうだ
この2日間でエインは目を覚まし、冒険者3人組とは仲良くなり、モンスターに襲われることもなく、奴隷の人たちと仲良く話して時間が過ぎていった。フードかぶった彼女とは1度も言葉交わすことがなかった。
ようこそ、理想郷へ〜Luck値カンストのトラブルメーカー〜 林桃華 @rintouka30
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