わ行

【わ】勿忘草

 『ワスレナグサ』はムラサキ科 ワスレナグサ属の植物です。

 ヨーロッパ原産で、北半球の温帯から亜寒帯(ユーラシア大陸・アフリカ大陸・オセアニア)に約50種が分布しています。日本に渡来したのは、明治時代に園芸業者がノハラワスレナグサ (M. alpestris) を輸入したのが最初と言われているそうです。暑さに弱いので、涼しい場所を好むようです。


 少し憂いを帯びた青紫色の可憐な花ですね。春の季語になります。

 ドイツの騎士の悲恋物語が名前や『私を忘れないでください』という花言葉の由来になっているそうです。


 恋人のためにこの花を摘もうとドナウ川の岸を降り、川の流れに飲まれてしまった騎士。彼は最後の力を尽くして花を岸に投げ、「僕を忘れないで」という言葉を残して死んだそうです。

 花言葉には『真実の愛』『誠の愛』『思い出』というものがあり、この伝説を思い起こさせます。


 私は伝説よりも、リヒナーという作曲家による『忘れな草』という曲を思い出しますね。

 小学生の頃、バイエルを卒業しこの曲を弾いたとき、「やっと少しは曲らしい曲を弾けるようになったのかなぁ」なんて嬉しく思いましたっけ。ツェルニーの表紙を苦々しい顔で見つめ、ピアノなんてどこが面白いんだと思い始めた矢先、この曲の情緒的な旋律がピアノの魅力を思い出させてくれました。


 他にも『友情』『真実の友情』というのもあるんですが、愛も友情も別れの後は時が思い出を濾過して美しさの純度を増してくれる気がします。


 勿忘草は2/7、2/29、3/13、3/15、4/5、4/6、4/17、4/21、4/24、5/14、5/15の誕生花だそうです。



 勿忘草の花言葉一覧:『真実の愛』『真実の友情』『友情』『誠の愛』『真実の恋』『思い出』『私を忘れないで下さい』


 青い勿忘草の花言葉一覧:『真実の愛』『誠の愛』


 白い勿忘草の花言葉一覧:『私を忘れないで』





 さて、このエッセイもこの花で幕を下ろしたいと思います。ここまでご覧いただき、誠にありがとうございました。


 このエッセイを通して新たに知った植物もありますし、イメージを改めたこともありました。書いてよかったと、心から思います。

 花言葉参照元としてご協力いただいた无域屋様に心からお礼申し上げます。


 偶然ではありますが、『忘れな草』は花言葉エッセイの最後を飾るに相応しい花であると思います。

 普段の暮らしの中でふと目にした植物、誰かから送られた花束、そんな何気ない中に潜む花言葉をときには思い出すのもいいかもしれません。もしかしたら花言葉を知っていることで、心に響くものが増えるかもしれないんですから。


 あらゆる花と触れ合う場面にて、添えられた花言葉がその花と皆様との思い出を豊かにしてくれますように。心からそう願います。

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花言葉あいうえお 深水千世 @fukamifromestar

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