第13話 少女ひとり
その後、あなた達は改札で張り込みを続けたが、なかなか一人でダンジョンに潜るような奇特な人間は現れなかった。夜食にダンジョン虫の丸焼きをかじりつつ、粘るあなた達。
「こないでござるね」
「ああ……」
「今日はもうあきらぬでござるか?」
「いや、まだだ。一人でダンジョンに潜るような人間は、どこか後ろめたいことを抱えているもの。なら、狙うべきは深夜だ」
「げ、でござる。夜更かしは美容に悪いんでござるよ」
「現状が続けば、そのうちき過労で倒れるぞ」
あなた達が、そんな話をしている時だ。茶色のローブを目深にかぶった人影が、足早に改札を抜けてダンジョンに入っていったのは。
「明らかに怪しいやつ。獲物だ……行くぞ!」
「あいあいでござる!」
あなた達は人影を追いかけると、ダンジョン内に突入していった。
※
人影はダンジョンに入ると、速足で階下に向けて進んでいく。いくつかの角を曲がった時だ、人影が消えた先から閃光が走り。あなた達は急いで、通路の先を伺う。
「マジカル・トランスフォオオオオオオム!」
叫びと共に、光に包まれるローブの人影。ローブが消え去り、中から現れた黒髪ショートの少女は発光と共に、その姿を変えていく。髪は金に染まり肩ほどの長さまで伸びるとウェーブし。地味な制服のような服装は、フリルがあしらわれたピンクのショートドレスへと変わる。その手に持っていた木製の杖も、プラスチックで出来たような可愛らしいものへと変化した。
「魔法少女めぐるが!あなたにお仕置きしてあげますわ!!」
「月の光よ、悪鬼を討て!ムーンライトブレス!」
杖の先に展開された光り輝く魔法陣。そこから吐き出される閃光は、熱量を持って、眼前にいたスライムを蒸発させる。被害はそれだけにとどまらず、閃光が通過したあとの通路は、あちらこちらがすすけている。
「成敗!」
くるっと振り返って、背後にドーンと七色の爆発を上げためぐると、目が合うあなた達。死んだ魚のような目をしたあなた達と、目が合うと固まり震えだすめぐる。その顔は真っ赤に染まり、今にも爆発しそうだ。
「すみませーん」
「せっしゃたちは、これでかえるでござる」
逃げようとするあなた達を、閃光でもって吹き飛ばすめぐる。黒焦げになったあなた達をよそに、ブルブルと震えると爆発する。
「なんでですのー!!」
迷宮の通路に、魔法少女の叫び声が響いて消えた。
異世界転生(日本)ーらいとふぁんたじー・らいとー eXs @eXs
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