第12話 狩りの時間
何度目かの探索を終えて、あなたとクレハの二人はギルド2階のカフェに来ていた。ボロクソになったあなたとクレハは、店員に出されたお冷を飲みながらぼーっとしている。
「だめだ……」
「だめでござるね……」
「「火力(仲間)が足りない」」
サイゾウの一件以降、正式にパーティーを組んだあなた達だが、2階層のゴブリン軍団で詰んでいた。それというのも、クレハが引っ張ってくるゴブリン達に対して、二人の処理能力が限界を迎えてしまっているからだ。なぜか一回の索敵で大量のゴブリンをトレインしてくるクレハ、相手を眠らせるしか能がない回復職のあなた。この組み合わせで大量のゴブリンを処理するのに手こずるなというほうがおかしいのである。現在は、クレハが回避盾をしつつヘイトを集め、あなたが順次眠らせていくというスタイルであるが、いかんせん時間がかかりすぎる。よって新たに火力(仲間)を増やそうというのは自然な成り行きであった。
「なんとか火力(仲間)を増やさなければ」
「しかし、募集しても来ないでござろう?」
「確かに……こんなプリーストと忍者だけのパーティに進んで入ってくれる馬鹿(お人よし)はそうそういないだろう。だからこそ、こっちから狩りに出なければいかんのですよ!」
「おー(888888888)」
急に立ち上がり力説するあなたに、拍手を送るクレハ。明らかに迷惑そうにする周りの客と、アップを始める店長らしきひげの男性。明らかにカタギの人間じゃない覇気をみなぎらせる店長にビビリ、思わず小声になるあなた達。
「そういうわけで、今回はこっちから仲間をスカウトに行こうと思う」
「うむ、いいと思うでござるが、誰をどうやってスカウトするんでござる?」
「狙いは火力のある魔法使いか、壁役になれる騎士だ。スカウトは……そうだな、弱みを握ろう」
「……弱みでござるか?」
「そうだ、一人でダンジョンに潜ってるやつの後を付けて弱みを握るんだ!弱みさえ握ればこっちのモノ、煮るなり焼くなり火力(仲間)にするなりなんだってできる!」
カフェから締め出されたあなた達は、ダンジョン入り口の改札へと向かっていた。頭にたんこぶを付けたあなた達はショボーンとしながら歩いている。
「強すぎるだろ、あの店長。回復術が効かなかったぞ」
「こっちもでござる。素手とはいえ麻刃斬りを止められるとは思わなかったでござる」
明らかに店長と一戦交えたダメ人間どもである。そんなことをしでかしておいて、拳骨だけで許すあたり、あの店長も相当のお人よしであるが。
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