第1章 出会い(5)
翌朝、俺はバカみたいに大きな「コケッコッコー」という声に起こされた。
うるさいな、どこの家の鶏だよ……
そう思い目を開けると、俺は見知らぬ小屋で藁に埋もれていたことに気づいた。
一瞬混乱したがすぐに思い出す。
そう言えば、俺はよく分からない場所に飛ばされたのだった……
日本時間で言うなら今日は6月4日水曜日であった。
水曜日には大学の講義がみっちりあり、そのうちの3つが必修科目だった。
休んだら教授になんて言われるだろうか……
まぁそんな心配よりも今日生き抜く心配の方が先だ。
あの少女が見ず知らずの者をいつまでも世話を見てくれるとは限らない。
今後の方針が決まるまではこの村で厄介になりたい。
古来より働く者食うべからずという言葉がある。
何かこの村で仕事を探そう……
その日から俺は村の男たちに交じって畑を耕すことになった。
朝起きたら畑を耕し、あの少女が持ってくる飯を食べ、鳥小屋で眠る。
そんな生活が数日続いた。
この数日でいくつか分かったことがある。
この村で何か困ったことがあると、村人は決まってあの老婆に相談に行くということ。
きっとあの老婆がこの村で一番偉いのだろう。
いわゆる村長と言うやつだ。
次に、獣耳なのはあの初めてあった少女だけだということ。
そして、俺のことをあきらかに歓迎してないのは老婆だけだということ。
村人は案外愛想よく接してくる。
まぁ表面上いい顔をしているだけなのかも知れないが。
光の壁に呑まれてから一週間立った日の夜に異変が起こった。
農作業で疲れてた俺は、鳥小屋でぐっすり眠っていたのだが、甲高い叫び声と激痛によりたたき起こされた。
苦痛のあまりうめき声をあげながら目を開けると、あの老婆が叫びながら俺の脇腹を蹴っている。
だが、俺が起きたのに気付くと、腕を引っ張り慌てて走り出した。
腹を蹴られたことで怒り狂っていたが、何やら慌てている様子……
俺はひとまず老婆についていくことにした。
ただりついたのは彼女の家。
老婆は俺を家の中に引きづっていく。
今まで入れさせて貰えなかった家にあっさりと入ることができた。
そしてある部屋の前に案内された。
扉は二重に鍵が掛けられていて、老婆がせっせと解錠していく。
二重の鍵とかここは金庫か何かか……
呆れ気味にそう思っているうちに鍵が開けられ、老婆が扉を開けた。
部屋の中を見て俺は絶句した。
部屋の中には様々なものが置かれていて、大半のものは使用方法は愚か名前すら分からないものだったが、見慣れたものもいくつも置いてあった。
しかし、それらはここにあるのはあまりにも不自然なものだった。
部屋の中にあったもの……それは拳銃からアサルトライフル、しまいにはロケットランチャーといった幅広い銃火器であった……
異世界人と共鳴少女(レゾナンス) 御剣賢人 @bookcoverred4
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