第8話 彼女との時間
彼女と幸せな日々が続いた。
僕がバイトの回数を減らしたから彼女との時間が増えた。
そんなある日のことだった。
それは、僕がバイトをしている時に起きた。
バイトが終わってから僕のスマホに電話があった。
それは、病院からだった。
彼女が事故にあったと言われた。
僕は急いで病院へ行った。
彼女は意識不明の重体。
いつ目を覚ますかわからないと言われた。
目を覚まさないかもしれないと。
僕は彼女が目を覚ますまでずっとそばにいた。
すると
「来て…くれたの…」
彼女が目を覚ました。
ゆっくりだったが喋ってくれた。
「来て…くれて…嬉しい…あり…がとう」
「来るに決まってるよ!!僕は君のそばにいるって約束したから」
「…うん…そう…だったね…そばにいて…くれて…ありが…とう」
「もう約束は破りたくないから」
僕は彼女の手をぎゅと握りしめた。
「その手…離さないで…」
「もちろん。絶対離さないよ、絶対に」
「…ありがとう…ずっと…ずっと大好き…今までも…これからも…だから…ずっと、そばに…いてね…幸せだったよ…出会った時から…ずっと」
「僕も、僕も幸せだった。君がそばに居るだけで幸せだった。ずっとずっと」
僕の目から涙が溢れた。
「泣かないで…あなたは…泣いている…より笑っている方が…ずっと素敵…だから」
「うん。わかった」
僕は一生懸命涙を堪えた。
「あのね…お願いがあるの…聞いてくれる?」
「どんなお願いでも聞くよ!」
「ありがとう…自由に…生きてほしい…」
「自由に?それってどういう…」
「すぐに…わかるから…幸せな時間をありがとう…私…あなたを……幸せ…にできて…良かった……」
僕の手から、彼女の手が離れそうになった。
僕はその手をずっと握っていた。
彼女は天国へ旅立った。
彼女は最後の言葉を言う時笑顔だった。
とてもとても。
今まで見たことないくらい笑顔で幸せそうで。僕は嬉しさと悲しみが同時に押し寄せてきた。僕は彼女を幸せにできた嬉しさと彼女がいない悲しさでどうにかなってしまいそうだった。でも彼女の笑顔を思い出すと元気になれた。彼女はきっと、天国で僕を見てくれている。
「どうしますか。この先」
「博士。僕、彼女にお願いされちゃいました。自由に生きてほしい、と」
「そうですか。では自由に生きますか?これは君にとって最後の選択肢です。さぁ選んでください」
「僕は…自由を選ぶ」
「素敵な選択です。さぁ、自由に生きなさい」
僕は自由を選んだ。
僕は元々彼女が天国へ旅立ったら、バラバラになる予定だった。
でも、大好きな彼女にお願いされては断れない。
あれは、彼女の最後のお願いだ。
僕は思ったその願いを叶えることが彼女の幸せに繋がるというのならその願いを叶えたいと。
僕の使命は彼女を幸せにすること。
それは、僕のそばに彼女がいなくても変わらない使命だ。僕が自由に生きることで彼女が幸せになるのなら僕は生きよう。
何故なら僕は彼女ために作られた人間だからだ。
幸せ ぺんなす @feka
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