第7話 彼との時間

彼女と恋人になって1ヶ月。

僕と彼女は今までよりも心の距離が近くなった気がする。


彼がバイトを始めた。

今までは私が絵で稼いだお金で生活していたけれど、彼が私にばかり負担させるのは良くないと言って、バイトを始めた。

彼がバイトを始めたせいで一緒に帰れなくなったり、一緒にいる時間が減って寂しくなった。


「ねぇ。やっぱり寂しいわ。バイトなんて辞めて前の生活に戻りましょ?」

「ダメだよ。君にばっかり負担させることになっちゃう」

「平気よ。私は気にしないわ」

「君が気にしなくても僕が気にする!!君を苦しませたくないんだ。僕だって君の力になりたい」

彼はこの話をするといつも少しムスッとした顔をする。

彼が私のことを心配してくれているのは嬉しいけどやっぱり寂しい。

ただ彼が怒るのでこの話はもうしないことにした。


そんなある日

彼がバイトで先に帰ってしまった。

はぁ…。

やっぱり寂しい。せっかく恋人になったのにどうして寂しい思いをしなくちゃいけないのかしら。

「どうしたの?暗い顔して」

荷物を運ぶのを手伝ってくれた人が話しかけてきた。

「えっと…別に何も無いけど」

「何も無い人はそんな顔しないよ?」

彼にそう言われて少しだけ彼に話した。

「そっか。彼の気持ちもわからなくはないけど…やっぱり大切な人を悲しませるのはよくないと思うな」

「寂しいって何回も言ってるんだけど全然聞いてくれないの」

「そっか…ならさ、別れたら?」

「えっ……」

彼の言葉はかなり衝撃的だった。

別れる?私が、彼と?

「だって君を苦しませんるだよ?そんな人と付き合っててもいいことないと思うよ」

「そんなことは…」

「そんなことあるよ。これから先も君を苦しませるかもしれないよ?」

「でも……」

彼がこれから先も私を苦しませる?

そんなことあるはずない。

だって彼は私を苦しませたくないって言ってた。

だから…だから、そんなはずは……。

「あっ、じゃあ俺こっちだから。じゃあね。また明日」

「うん……」

私はその後家でずっと考えていた。

私にたくさんの不安が襲いかかってきた。

これから先もっと彼と一緒にいる時間が減ったらどうしよう、彼が私のこと好きじゃなくなったらどうしよう、彼が私から離れていったらどうしよう。

そんなことばっかり考えていたら、彼が帰ってきた。

「ただいま……あれ?どうしたの?すごく顔色が悪いけど……」

私は彼の姿を見て思っていることを全部言ってしまった。

「そっか。ごめん。僕また君を…」

「私の方こそごめんなさい。あなたのこと大好きで信じているはずなのにとっても不安で…」私は泣いてしまった。

「弱い私でごめんなさい」

「そんなことないよ。本当にごめん。これからはもっと君のそばに居るから」

「ほんとに?」

「うん。でも…その、バイトは辞めたくない。君の負担を少しでも減らしたいから。少しだけバイトの時間を前より減らすから。そしたら前より一緒にいられるよ」

「あなたの気持ちもちゃんとわかった。私のこと心配してくれてありがとう」

その日から彼はバイトの日を減らした。

そしたら彼との時間ごが増えた。

彼とまた、楽しい時間を過ごせる。

それが嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。

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