7人の生徒
中間テストも終えて成績発表。
生徒達より先に結果を知る教師たちは、もちろん自分のクラスの子たちの成績が気が気で仕方なかった。
でも、テストの結果は僕達には付属でしかない。
テストを通して出来た生徒とのコミュニケーション。
そこで気付いた教師としての弱点と強み。
無意識に縛り付けていたそれぞれの悩みの答えを見つけることが出来たんだ。
?「そう。それは良かったわね」
赤の教師(以降:赤)「誰?」
?「あなた達の悩み。とでも言っておこうかしら」
緑の教師(以降:緑)「私達の悩み?」
人の悩み(以降:N)「そう。ずっとそばに居たのよ」
紫の教師(以降:紫)「いつから?」
N「あなた達が悩みだした時からずっと」
青の教師(以降:青)「多分その悩みの答えは見つかったけど?」
N「そうね」
黒の教師(以降:黒)「もう消えてしまうのかい?」
N「そんなことはないわ」
黄の教師(以降:黄)「どうして?」
N「それはあなた達も良く分かってるでしょ」
白の教師(以降:白)「人は悩み続ける生き物だから」
N「そう。悩まない人なんて居ないわ。でも1つの悩みを背負い込むほど馬鹿でもないでしょ」
黒「そりゃそうさ。だから今こうして次の悩みに立ち向かえるんじゃないか」
N「そうね。あなた達が最初に言ってた悩みは解決した?」
青「僕は今直ぐにでも死にたい。未来?そんなの知ったことか。そう思ってた。
でも感情を表に出す事で口下手な僕でもしっかりとコミュニケーションがとれた。
言葉が無くても通じ合える表情豊かな人間になりたい。
そしたこの先もっと素敵な人達と出会えると思うんだ」
黄「僕はとにかく今が楽しい。未来?そんなの後回しさ。そう思ってた。
でも僕は周りが全く見えていなかったんだ。
生徒達のように素直に意見して気付かせてくれた人たちとちゃんと向き合っていきたい。
そして、周りの人たちも楽しくなるような人間になりたいんだ。」
紫「僕は何の為に頑張っているのだろうか。未来?そんな事より今を考えないとって思ってた。
でもそれは、今を考えるんじゃなくて、未来を考えることを諦めていたんだ。
考えることをやめてしまったらお終いだろ?
これから出会う人たちのために今と向き合って考えて生きたいんだ」
赤「僕はダメ人間だ。人生を諦めている。未来?どうでもいいさ。そんな考えを持っていた。
でも逃げてばかりじゃ進めないってちゃんと気付けたんだ。
逃げても逃げても追いかけられる。追いつかれることもあるし、逃げ切れることもあるだろう。
でも、そんな所で頑張るなら、これからは『逃げない』という選択肢を選んで頑張ってみるのもいいかなって思ったんだ」
緑「私は私よ。人と比べないで。未来?私が選ぶ道は成功の道に決まってる。そんな自己中な考えだった。
でも、比べられたくない一心だったにも関わらず、私が人を比べていたの。
比べることが悪いんじゃない。人を下に見る比べ方が悪いの。
始めて良い比べ方をされて気付いたわ。私もやる気を出せる天秤にかけて未来を選んで生きたいと」
黒「俺はあの日に戻りたい。未来より過去に光がある。そう思ってた。
確かに未来は不透明で何も見えない。過去は自分が色塗りしてきたんだ、見えて当たり前だ。
だったら今はどうなんだ?今も何かしら悩み考えて色を塗ってる最中なんだ。
だったら過去の色塗りを気にしてる場合じゃない。
すぐそこに来てる未来の色塗りを考えていかないといけないんだ」
白「私は理解している。人生とは終わるためにあるのです。未来。それは死。
間違ったことは言ってないと思う。それに変わりは無い。
しかし、人生は終わるためにあるんじゃない。終わるために必要な物語を作るためにあるんです。
何でも事が起きないと終われないでしょ?
何章にも分かれるストーリーを今も書き続け、そして結末まで繋げないといけないの」
N「それぞれの悩みにしっかり答えを出せたみたいね。それじゃ、あなた達全員がみつけた答えを聞かせて。未来とは何?」
7人「避けることの出来ない死のために今を生きること!」
赤「未来とは『死』それに変わりは無い」
緑「そんな今この瞬間も、未来に手を出し、過去に変えている」
紫「過去も今も未来も紙一重の場所にある」
黄「だから遠い未来に死が待っているなら、近い未来である今を全力で悩み生きる」
黒「過去に囚われてもいい。今に活かす努力をすれば」
青「人生に絶望してもいい。どうせ悩まないと生きていけないんだから」
白「先に待ってるのが『死』だと分かっているから、今をどう生きるか悩むんだ」
N「そうね。その答えが正解かどうかは誰にも分からないわ。
でも、1つの答えを導き出したことでこの悩みのお話は完結した。
あなた達にとって第何章のお話かは分からないけど、すでに次の物語を書き始めてるのでしょう。
このお話に題名を付けておきましょうか。
そうね、7人の教師が何十人もの生徒に答えを導いてもらったお話だから「7人の生徒」としておきましょうか」
7人の教師 真灯出 愼 @sanatoude_sin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます