これは笑っても大丈夫なものだろうか。1ページ目を読んだとき、そう思った。
どこかで、私を見張っている異世界なろうテンプレ信者が、いざ私がふふっと笑いを溢そうものなら颯爽と駆けつけてきて、あっという間に市中引き廻しのうえ磔火焙りにでも処されるのではないだろうか。不安だわ。
そのくらい叛逆的な作品だと思う。大袈裟に言って。
ここにある笑いは、決して爆笑ではない。
思わず、我慢できずにくすりと笑ってしまうくらいの笑いだ。
しかも、ただあるあるネタを箇条書きにしただけであれば、それほど面白くはないといえる。
ところが、魔王と側近の会話まで含めるとどうだろう。
途端に面白い。これは企画勝ちだな、とにやけざるをえない。
ドラゴン、ヴァンパイアは確かに強敵だ。
でも個人的には、ゾンビがじわじわと効いてきた。
決勝戦にゾンビがいないだって?嘘だ。敗者復活戦でもなんでも、やっておくれよ。
そんなことを考える、今日この頃。
ああそうそう! 主人公以外から見たらこうだよなあ!
……という「気づき」がここにはあり、その発見と共感が「笑い」を誘います。
こうしたおかしみを取り上げることへの許容性――懐の深さを持ってこそ、WEB小説は新たな発展ができるのではないでしょうか。
別の見方をすれば、これだけの文字数ですべてを察することができてしまうほどテンプレが出来上がっているのだなあと奇妙な感心の仕方をしてしまいました。
と、ナンセンスさを自覚しつつも精一杯レビューらしく見えるように整えてみました。
こういうの好きです。まだまだモノマネは出てくるのでしょうか?
今後にも期待します。