3-2.Ⅶ:冒…お風呂の後のとある出来事(ヒロイン視点)
ミュリア視点――
「うぅ…羨ましい…、どうしたらシルフィくらいに大きくなるんだろう…」
シルフィと一緒に御風呂に入った事で、シルフィとの胸囲の格差をあらためてする事になった。
温かいお湯で体はポカポカと温まったのに、どこか心は冷えているようだった。
うぅ…なんでか涙が…
というか周囲の人が大きい人ばかりなのにどうして私だけ!?
シルフィも大きいし、シーラさんも大きい。シルフィの侍女をしてくれていた兎獣人のエトさんも大きかった。
どうして私だけ…なんだろ…うぅ…。
「…涙目のミュリアも可愛いけど、ミュリアは気にし過ぎ。まだ私達は成長期だと思う。私は少し早めの成長期に入っただけ……かも?」
御風呂からあがって着替えた後、部屋の椅子に座っている私の後ろからシルフィがそう言った。でも最後の「かも」って何よ!自信無しで言われても…
「そ、そうかな?私も、もっと胸、大きくなるかな?」
「そうよ……たぶんだけど…。それよりミュリア、あまり動かないで。うまく髪を乾かせないから」
「あ、うん。…たぶんってのが気に掛かるけど、こうして乾かしてくれているんだしね。ごめんね、ありがとシルフィ」
「なんのなんの…」
今椅子に座りながら背後のシルフィに髪を乾かしてもらっている。
シルフィは私達の中では一番魔法がうまく、特に【風】に関しては抜きんでた才能を持っている。
今シルフィは風魔法の応用で熱風を起こして髪を乾かしてくれている。
私の髪は腰くらいの長さもあって拭いて乾かすのは時間が掛かる。
ちょっとくらい濡れていても私は気にしないんだけどな。
まあ、ただ、ほかの
大昔の時代では、水に濡れるのを嫌う
疫病がどんなのかは知らないけど、最悪命に関わるものだったらしい。
その原因をとある一人の人間の男の人が解明し、解決に導き、それ以降病気にかかる
その人の解決の糸口の一つが入浴する事であった。
それ以降はほとんどの
シルフィに髪を乾かして貰っている。温かな風が心地よく髪を乾かしていく。
ニャフフ♪
何だか夢心地な気分♪
なんて浸っていたら――
ドカーーン!!!
と外から大きな音が響いて来た。
いきなりの爆音に驚き猫耳がピンと立つ。
どうやら街の方からのようだった。
「なに!?凄い音がした!ビックリした!」
「…ええ、私も驚いた。凄い爆発だったようだけど……うん、たぶん魔法に近い何かのようね…」
思わず大きな音のした外に視線を向ける。シルフィも驚いて私と同じ方角に視線を向けている。驚いていると言ってもシルフィの表情はあまり変わっていないようだけど。
ジュー。
「ん?(……なんだか頭の温かさが上がってる?)…もしかして、アルトが何かに巻き込まれた、とかかな」
「…そうかも。たぶん魔晶石か何かの力と思う。相変わらず派手ね」
ジュー―。
「うにゃ?(ムムッ?あれ?熱さが集中してる?…何だか頭が熱い?汗が何でか出てくる?)アルト大丈夫かな?」
「それは心配はないわね。彼、強いもの。流石は英雄様ね…」
「あ、あはは…アルト、英雄扱いされるの好きじゃないからあまり言わないようにねシルフィ――それとね」
「分かってるわ。彼を揶揄う時だけにするわ。私も…それで他に何か?」
ジューーー、シュー。
「ブルブル…ね、ねえシルフィ、もしかして何だ…けど…ね?温風の風なんだけど、制御できてる?その、ね…さっきから頭が熱くて…」
「ん?………あっ!?…ゴメン、”温風”使ってたの忘れてた」
シルフィが外から私の頭に視線を戻すとそう告げた。
やっぱりだったーー!!?
あっついィーー!!?
うにゃーー!!
「うぅ…ねぇ、シルフィ?禿げてたりしてない?大丈夫?うぅ…」
「え、ええ。大丈夫よ。少し髪が焦げたみたいだけど、大丈夫よ。一部だけだから」
”冷風”で部位を冷やしてくたシルフィに本当に大丈夫か聞く。
流石に悪いことをしたと反省しているシルフィ。何度もゴメンとあやまってくる。
因みに”冷風”をしてくれた際に、ビクッとした。
何だかシルフィの温風とかにトラウマが出来た様な気がする、ううぅ。
ガチャ!
部屋の扉が開く音がした。
「ただいま~と」
どうやらアルトが帰って来たみたいだ。
とりあえず聞いてみよう。
あの爆発騒ぎはアルトが関わっていて、アルトが仕出かしたことなのかを!
もしそうなら、アルトのせいで私の髪と頭が酷い目にあったんだから、盛大に文句を言いってやるんだから!
『英雄冒険記』≪地球≫から2年ぶりに故郷に帰還したら1000年が過ぎていた!? 光山都 @kouyamato
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