第10話 東北大学の女子はプライドが高い
県庁の筆記試験に合格したのち、さっそく県庁で二次試験があった。
二次試験は、集団討論と個別面接。
集団討論は、秋入学制度について公的立場から導入の可否を検討せよというものだった。
当時は、大学全入時代と言われ、私立国立問わず大学改革が声高に叫ばれていた時代であり、しばしばスポットニュースで秋入学というワードが取り上げられていた時期だった。
大学の頂点たる東京大学は、当時、秋入学に積極的だった。
大学によっては秋入学に消極的な大学もあったが、基本的には東大が右むけば右な時代で、それはいまでも変わっていない。
大学院入試でも、東大が初めてTOEFLの成績の提出を必須化し、後を追うようにして他の国立大学においてもTOEFLの成績を提出することが必須になった。ただ、文系の中でも専門職大学院などは、TOEICでもよいというお達しをし、もちろんこれについても他の大学は東大に追従した。
基本的には、大学の動向を掴みたければ、東大の動向を掴めばよいということになる。
さて、僕はこの討論において秋入学を支持することにした。
が、やはり・・・予想していたように、他の受験生も秋入学に対して是という考えをそれぞれ述べ始めた。
開始5分足らずで、受験生6人ほどが全員、秋入学支持に回った。
これじゃあ、討論にならないどころか、ほとんど雑談に近い状態で集団討論は進んでいった。
こういった場合は、ふつうは面接官が問題点やら助言やらを提起すべきだと思ったが、なんというか、面接官はただ手許のシートに○やら×やらを書いているだけっだった(たまたま僕の後ろの面接官がもっている手許の紙が見えた)。
こうやって考えると、やはり県庁レベルになってくるとそこそこ頭のいい人が多いというべきか、いわゆるネット右翼と呼ばれている人たちのように、「桜の季節に入学式卒業式を云々。それが日本の伝統で云々。」といったなんのエビデンスもなく持論を語り場を攪乱するような受験生はいなかった。
おかげで、×がつくような人がおらず、逆に目立たなければ高得点をとれないような状態になってしまった。
個別の面接も、特に問題なく受け答えすることができた。
「公務員の役割は?議会との関係は?」といったことを執拗に問われ、公務員面接特有の問答に終始した。
丸一日かけて終わった二次試験は、個人的にはかなり自信の出来だった。
帰りの電車の中で、例の東北大学の女の子とバッタリ会い、二次試験についてお互いいろいろ話すことになった。
顔はなかなかに可愛い。
可愛いのだが、口をひらくと、さすがは高学歴女子。
少し高めの声で、「まあ、かなり簡単な面接だったわ」。
「私は、文学部ですけど、公務員のレベルってそんなに高くないんだなあって感じました」。
次から次へと高飛車な言葉が出てくる出てくる。
面接終わりで疲れてるのに、帰りの電車の中でもかなり疲れてしまった。
いや、まあ、高学歴女子大生あるあるなのだろうか。。。
あるある・・・
心の中で自分を納得させながらも、仙台の雄ならぬ仙台の雌に対し、抗体を作るきかっけになった。
※大学職員になった後も、また別の仙台の雌さんにすこしいびられることになります。
そんなわけで、公務員試験は、あとは大学職員の面接を残すだけになった。
公務員(大学職員)になるということ じゃがりこ @jagariko
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