22話 - 命名 -

「今日の晩飯も美味しいな。この<カレー>味のする魚はこういう味なのか? それとも味付けでこの味にしているのか?」

「<カレェ>って何ですカイ? 魚がこういうスパイシィな味なんですゼ!」

「そうなのか……。私の故郷にこの味で<カレー>という名前の食べ物があったからね。それはスパイスを色々組み合わせて作るものだったからね、こちらでもスパイスがあるのかと聞いてみたんだ。ありがとう魔包丁イビルナイフ


 まさか異世界こんな所でカレーの味を口に出来るとは思っていなかったから、すっごい感激していた。今は外面魔王モードキリっとしなきゃだからね。それにしても、カレー味の魚って何食べてこの味になったんだろ……? 何はともあれ、


「ふふっ、それではこの魚を<カレー>と呼ぶ事にする。いいだろうか?」

「もちろんでござります! 魔王様の命名と<カレー>に乾杯!」

「「「「乾杯!」」」」


 これで名もない魚に<カレー>という名が付いた。私は気付いていなかったのだが、名付けというのが多かれ少なかれその種族カレーと名付けた魚に影響を与えるという事を。なぜか数種類の<カレー>が発生し、あるものは某バーモ○トのような味、あるものは某ク○レのような味、というように微妙な個体差が外見と身に生じるようになってしまった事を。


 <カレー>以外、特に気になる食材は無かったけど、これだけ美味しいご飯を食べさせて貰えるなんてホント幸せだなぁと、しみじみしながらお風呂に入り、寝室へ戻った。

 晩御飯の時にイェレナさんと、ネーロちゃん、ビャンコちゃんの3人以外は人化して人の国以外の他の国に居るって言ってた。今日居なかった人達も今魔王城こっちに向かっているようで会えるのが今から楽しみだ! よし、明日も頑張ろう!



 今朝起きてみるとスケアクロウのマルティンさんが起こしてくれた。昨日のカレーのインパクトで忘れてたけど、マルティンさんは魔王城ここの執事になるために修行に出てたんだって。完璧な執事になったら前の魔王さんが消えちゃってて、ビックリしたけど心機一転、私に仕えてくれる。

 朝食を皆で食べた後は、旅に出るというデーモンのデメトリオさんと、獣の国に戻るという狼のヴィルマさんを見送って、また謁見タイムだ。昨日よりちょっと遠い所の人たちが来てくれた。流れ作業で謁見それをこなし、執務室へ戻る。

 あれ? これずっとここで籠りきり!? 私はいつ旅に出れるの!?!?


「心配されずとも、創っているダンジョンが終わりましたら、旅に出ても問題ありませぬ故。もう少々、辛抱してくださりませ」

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