21話 - 揃い踏み -

 怖い怖いと言いつつも結局11連を5回やってしまった。次はいいの出るよね! と祈りを込め過ぎたのか、最初は色んなゴブリン、次はゴブリンとオークで、やっぱりビギナーズラックか……次で最後に! じゃじゃじゃーんという効果音付きで<Uサタン>が出て来た。サタンて魔王じゃない? 大丈夫かな、という心配は杞憂に終わった。何故かって、召喚したモンスターには純粋なる忠誠ピュアディヴォーションが自動で掛っているので問題ない。ダンコンのヘルプに書いていたんだから問題ないったら問題ない。

 うっかり3回で止めとけばよかったのに、ついもう一回もう一回と召喚してしまった。結果は超レアなサタンと個人的にお気に入りなミニデーモン以外は大量のゴブリンとちょっとオーク&狼というものだった。

 まぁ、こんなもんだよね。ダンジョンには強そうなモンスターを下の方の階に、ゴブリンとかの低レベルなモンスターは上の方の階に、とりあえず設置してみた。もちろん、サタンは90階のボスとして君臨してもらう。出来るかどうか試してみないと分からないけど、召喚したモンスターを鍛えてレベルを上げて魔王城にふさわしいモンスターに仕上げるのだ! ふはははは、これでわが魔王城も安泰だのう!


「魔王様、声に出ております」

「はっ! どこから聞いてたの!?」

「『まぁ、こんなもんだよね』から『これでわが魔王城も安泰だのう!』 ……まででござります」

「うっわ恥ずかしすぎる! ごめん、忘れてくれたら助かる!」

「今のは私の胸の中に仕舞っておきまする」

「「……私たちも」」

「え! なんで2人まで見てたの!?」

「……まお様、晩御飯の支度出来たって」

「そ、そっかー。あー、丁度お腹減ってきたなー!」

「ふふっ……。それでは行きましょう」


 もう、完全に黒歴史だよ。独り言は独りの時に言うべきだよね。まぁ、気分を切り替えて晩御飯に行こうかな。今日はなんだろなー。


 食堂にはすでに3人着席していて、イェレナさんよりも本格的なムキムキ筋肉、イカスミの様に真っ黒な肌、真っ赤なぐるぐる巻いてる角がとんがった耳の上にドンっと付いたデーモンロードのデメトリオさん。もふもふっとした青い毛、8つに割れた腹筋、カッコいい眼帯の狼ロードのヴィルマーさん。黒い燕尾服を着て、小さい丸眼鏡を掛けてちょび髭を付けている案山子へのへのもへじのスケアクロウロードのマルティンさん。なんだか錚々たる面子という言葉が浮かんできた。


「初めましてだな魔王様! オレはデメトリオだ! 鍛練するなら任せてくれ! よろしくな!!」

「おう、俺はヴィルマーだ。青嵐のヴィルマ、俺が行く先には死が撒き散らされる……俺に触れると切り裂くぜ?」

「も……もごもごもご。もごもご。もごも(今……貴方のあなたの心に直接話しかけています。私はマルティンと申します。以後お見知りおきを)」


 デメトリオ先生は熱血、声がめちゃくちゃ大きい。つい先生と呼んでしまいそうになる。ザ・アクマみたいな外見のになんかギャップが激しい。

 ヴィルマーは……なんというか、キザ? こういうのって中二病って言うんだっけ? 見かけはカッコいいのに損してるなー……。

 マルティンはやっぱり口が聞けないみたいで、ずっともごもご言ってるけど<念話>で直接脳内に語りかけてきたんだけど、声がすごい可愛くて一瞬誰か分からなかった。3人ともすごい見た目と中身(声)の差がありすぎて残りの4人が楽しみになってくる。イェレナさんは教えてくれるって言ってたけど、後のお楽しみに取って置くんだー。


「みんな宜しくね。では、ご飯を食べましょうか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る