第四十五回 ネームレスシティってなぁに?
【初めに】
お久しぶりです。前回の講座からだいぶ時間が空いてしまいました。『ダブルクロス3rdサプリメント ネームレスシティ』の発表については備えていたのですが中身が多くて、とにかく多くて、執筆に時間をとられてしまいました。
クトゥルフ神話ネタの伝奇バトルものが好きならみんな好きだろこんなん!みたいなネタが沢山入っているから細かく抜き出すだけでたまらないし我慢できなくて今まで使ってたお気に入りキャラのリビルドしたり、年末の薬局が修羅場進行だったり、今やっていた文章のなにがしかをあれそれしていたり、非常に忙しくなり、発売から二週間もかかってしまいました。
ネームレスシティのデータ的なところはさておき、フレーバーについては気になるところはざっくりとまとめる事ができました。今回は、ドナルド・タイソンのネクロノミコンの設定を踏まえてたり、日本だとあんまり知られていないネタが仕込まれたり、クトゥルー神話と全く関係ないパロ(ある意味いつものやつ)があったり、読み込み甲斐がありました。画面右端にあるシークバーを見ていただければ長さがおわかりいただけるかと思います。じゃあ折角の年末ですし、長い話に付き合っていただきましょうか。それでは始まり始まり。
【解説~ネームレスシティの用語集~】
◯ネームレスシティ
そもそもネームレスシティというのがクトゥルー神話では有名な単語です。無銘都市は、人類以前に繁栄していた爬虫類型人類の都市で、夜毎に都市の奥底から怨嗟を秘めた悪霊たちが湧き出して、日の出とともに戻ってくる恐ろしい場所です。ですがそれだけではなく、クトゥルーに対抗すべく真実を知った者たちが拠点として使ったともされています。そういう意味ではUGNの拠点としてはぴったりです。
ところで、かの有名な魔道書『ネクロノミコン』を書いたアブドゥル・アルハザードには、この無銘都市に拉致されて拷問を受けて死んだという説があります。UGNの最奥、この都市の最奥に囚われているものとは彼なのではないでしょうか。
この世界のUGNは人類を守っているだけであって、世界中を敵に回してなお立つ悪夢のカルト集団であることには違いありません。そういう事をしていても不思議ではないですよね。
◯チャンドラ・エラハム博士
締め切った部屋の内部で溺れ死んだ方です。深淵の息という呪文が同じサプリメントに収録されているので、ダゴン秘密教団の誰かにこの呪文を使われて死んだのでしょう。ところでこの名前、ランドルフ・カーターが別の姿をしていた時の偽名「チャンドラプトゥラ師」によく似ています。また、死亡した状況は「鍵のかかった密室で怪物の手により惨死した」というフォン・ユンツトに類似しています。このフォン・ユンツトは非常に有名な魔道書『無名祭祀書(黒の書)』の著者です。
なおチャンドラ・エラハム博士がUGNインドの人間だったように、チャンドラプトゥラ師もインド風の服装に身を包んでいます。
◯1925年のクトゥルフの覚醒
『クトゥルーの呼び声』です。まさしくその出来事を主題とした作品があります。ルルイエが浮上しており、クトゥルーの影響を受けた人々が大量に発生していました。
◯星の智慧派
ロバート・ブロックの『アーカム計画』において、クトゥルーの復活を画策していたカルト教団です。教祖のナイ神父はニャルラトホテプの化身でした。
◯南太平洋に浮かぶ渾沌の庭
ルルイエは南太平洋にあります。
◯万色の迷宮
ヨグ=ソトースとティンダロスは基本的に敵対する関係にあります。にもかかわらずヨグ=ソトースの影響を受けた土地でティンダロスの猟犬が出没するということは、両者の戦いの最前線なのかもしれません。そんな場所に迷い込みたくないですね。
◯星の彼方でイグとクトゥルフは血縁
同じ旧支配者の七帝ではあります。なおかつ同じ龍としての進行が存在する為にそういう事を考えた者も居たのだと思います。
◯イグの神罰としての邪神因子
そもそもイグは初めて登場した『イグの呪い』で、蛇を殺した家を滅ぼし、生き残った女性を蛇のような怪物に変えた上で蛇を産ませているので、祝福ではなくて罰として邪神因子を埋め込むというのは充分あることです。
◯末法の龍神
ゴジラです。1954年11月3日、それはゴジラシリーズの第一作目『ゴジラ』が公開された日です。ゴジラです。私も自分のキャンペーンシナリオのボスにゴジラのデータを作っていたのですが、結構データが似てたのでちょっと嬉しかったです。HP1000は欲しいですよねゴジラだし。装甲も40くらいは欲しいですよね、ゴジラだし。
◯ダイナスト
なに?
確かにウェイトリー一族の話とかはあるんですよ。私もウェイトリー一族で起源種でヨグソトースの息子で時間と因果を操って策謀を巡らせるタイプのオーヴァード作ってるのでもう何も言い訳できないくらい大喜びしましたけどこの存在には。でもクトゥルー神話においてこれに相当するものって見当たらないんです。
そう思って『闇に降る雪』『Dynast』を読んできました。ケイト……幸せにな……。そうか……ダイナストお前ダブルクロス側からの旧支配者領域殴り込み存在なのか……。古代種とか起源種もここか……。
この星全てを飲み込むワーディングとかも……ここか……。
っていうかこんな良いネタをリプレイ二本だけで使い切ったの……こわっ……。
◯神埼瑠璃江
『闇に降る雪』『Dynast』に出てきた神埼シリーズの一人ということですがやたら年が上ですね。そして名前がルリエ、ルルイエは別名ル・リエーなのでそれをもじったのだとは思いますが、気になります。
◯ハドン弁護士
『ハスターの帰還』という作品の登場人物です。おおむねこの作品と同じ出来事を経てかわいそうなことになります。
◯クタニド
見た目はクトゥルーそっくりですが親しみやすく人間を守ってくれる神様です。タイタス・クロウシリーズに登場し、人類とクトゥルフ眷属邪神群の戦いを助けてくれます。
◯アラオザルのエリック・マーシュ
『潜伏するもの』という作品での話です。旧神が星の戦士を派遣する最初の話ですね。
◯チャウグナー=フォーン
20世紀のアメリカ大陸における話は『恐怖の山』に詳しいです。
◯勇気を評価する
『毒入りスープ』と呼ばれるクトゥルフ神話TRPGのシナリオに由来するエピソードだと思われます。
◯20世紀初頭マンハッタン地下鉄防衛隊
『遥かな地底で』という作品があります。まさにこのような話がされており、しかもかなりのダブルクロス濃度です。
◯ダゴン秘密教団のショゴス
ショゴストゥシャと呼ばれるものがクトゥルフ神話TRPGに居ます。
これがショゴスを操る深きものどもで、イメージの源になっていると考えられます。
◯タタリガミ、レッサーオールドワン
ダゴンやハイドラは分かるのですが、ルリム=シャイコースがここにいるのはびっくりです。いや、一応はアフーム=ザーの配下だって勝手にリン・カーターが言い出したのですが……ほらべつにルリム=シャイコースを作ったC.A.スミスが創造した設定じゃないし……さあ。
◯ロイガーノス(あるいはロイガー)
ロイガーノスが別の奉仕種族などでなくロイガーそのものを指して使われている単語だと確定しました。ロイガーという名前の奉仕種族もいてややこしいんですよこれは。
◯ムーンビースト
お前らオーヴァードなの!? びっくりです。オーヴァードなんだ……。
◯残穢
傑作ホラー小説です。映画もあるよ。ぜひ読んで見てね。
◯ジョナサン・ランカスター
第一部のジョージ・ジョースターに似てません?
◯グエムル
韓国ホラー映画、これも傑作。気になった人はカクヨムで映画紹介記事を書いているオーミさんの映画紹介コーナーで聞いてみよう。
……答えてくださいました。本当にありがとうございます。
https://kakuyomu.jp/users/kipplemaker/news/16816927859553637461
◯佛淵章魚
間違いなく深きものどもの高齢の個体です。章魚はタコのことですね。
◯リアニメーター
Dロイスですね。
死体蘇生者ハーバート・ウェストの原題です。
◯超時間の干渉者
イスの偉大なる種族が出てくる作品が『超時間の影』です。
◯世界の守護者
猫神バステトは旧支配者の獰猛な側面を持つとも、ホラー的な雰囲気とはいうものの、ラヴクラフトの作品では猫結構しゃべるので神経質にならなくていいです
◯明けの明星が輝くとき
これは僕のやっていた卓の話なのですが、ルシファー(明けの明星)が巨大化してウルトラマンになってゴジラ(末法の龍)を殴る卓やったばっかなんですよね。
◯ヨグ=ソトースの拳
COCの有名な呪文です。邪魔なやつをビルから突き落とす時とか便利です。
◯黄金の鎮魂歌
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム!
◯クトゥルフの呼び声
そのままですね。大いなるクトゥルーをよんでなぐる!
◯神木の丸太
丸太は持ったな! おそらく彼岸島のネタなのですが……マジ? 強いな……白兵キャラにはみんな持たせておきたいですねこれ。
◯リングオブライフ
リングフィット!
◯供儀の石仮面
ジョジョの奇妙な冒険でも重要なアイテムでしたね。ディオ様はエグザイルとサラマンダーだったんでしょうか。
◯嵐の矛槍&炎の剣
まずクトゥグアの力を秘めたコルヴァズの剣というのがクトゥルフ神話TRPGの海外サプリにあります。あとデビルメイクライのアグニ&ルドラみたいな雰囲気もありますね。
◯氷炎の双銃
デモンベインをやろう。
◯バルザイの偃月刀
デモンベインをやろう!
◯輝くトラペゾヘドロン
汝、無垢なる刃デモンベイン!
◯バイオモーフアーマー
シークレットオブジャパンというイカれた(褒め言葉)サプリメントが海外で出ていたのですが、そのネタだと思います。
◯キンメリアの大剣
コナン・ザ・バーバリアン。無名祭祀書を創造したR.E.ハワードの代表作です。ハワード先生の作品はいずれも一貫して強い男の物語で最高ですよ。
◯ハートオブエリシア
ウルトラマンのカラータイマー&タイタス・クロウシリーズにおけるタイタス・クロウの復活劇が近いイメージですね。
◯探索者のダイナマイト
KP、このPC投擲あるんで振っていいですかね。
◯プランニングサポート
このハチェットハリーとかいうマフティー・ナビーユ・エリンって実はプランナーの手の上で踊る道化だったりしません? 大丈夫?
◯グラーキ
隕石に乗ってきたり、水を抜かれた湖に現れたり、これだいたい全部作品の中でやっていることです。
詳しくはこちらをどうぞ。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880900124/episodes/16816452218738186925
【最後に】
少し駆け足になってしまいましたが、めぼしいところをピックアップしてまとめてみました。本来なら一週間前には出したかったんですが、薬剤師の仕事は年末が修羅場なんですね。そう、患者さんみんな駆け込んでくるから。今日まで仕事でさ……。あともう一つ、あるお仕事の原稿がまだ終わっていなくて、年末年始でなんとしてもやりとげたいのでかなり時間を使っている感じです。私に年末年始は無いようです。もっと忙しくなりたいので、クトゥルー神話関連のお仕事は常にお待ちしております。ツイッターのDMやメールアドレスなどからご連絡ください。
さて、今回がクトゥルフ講座年内最後の更新です。色々ありましたがいつも応援ありがとうございます。
くれぐれも皆さん、闇からの囁きに耳を傾けぬよう、今年も最後までお過ごしください。
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