第三十六回 グラーキってなぁに?

【初めに】


 お久しぶりです。1月は職場の異動などがあり忙しくて更新できなかったしぃるです。異動先が忙しくてぴえんぱおんなので皆応援してください。ちょっと聞いてマジ厳しい人がいてね! 病み上がりだしゆっくりさせてよ……って主に泣いてます。


 さて、話は変わりましてツイッターなどで交流しているとある先生と今度COCやろうぜ~!って話を最近したんですね。

 それでシナリオとか使う神話生物について色々当たっていたらパッと目についたのがこちらグラーキ。実際に使うかはさておきメジャーな邪神ですし、この機会に簡単に纏めて後で読み返せるようにしておこうという寸法です。しかもラムジー・キャンベルのクトゥルー神話作品集『グラーキの黙示(仮)』が現在クラウドファンディングを開始しておりベリーホット! 今こそ抑えておきたい邪神なのです!

 グラーキのいいところは人間を操るところです。これがとにかく話に使いやすい。人間をさらえるし、人間を殺せるし、人間を使おうとする。つまり人間に関わってくる理由があるのです。さらにCOCのゲーム的にも、ならSAN減少で即死の危険性も低い。便利なことだらけです。やっぱクライマックスで邪神チラ見して帰ってこられる程度の発狂はしたいじゃないですか。そういう点でグラーキはとにかく使いやすい。

 皆さんもこのグラーキについてチェックして、卓生活や創作生活を豊かにしてみましょう。

 今回の記事は「湖の隣人の小屋」様の記事を参考にしている部分が大いにあります。気になった方は是非チェックしてみてください。

 それでは始まり始まり。


【外見について】


 金属光沢を放つ巨大なナメクジです。足はピラミッドのような白い四角錐が無数にあり、厚い唇が付いた円形の口を持ち、頭部と思しき場所には目のついた三本の突起があります。グラーキは我々人間の言語で表現すれば金属生命体で、その棘を分析にかけたところ、金属で構成された細胞が確認されたことになっています。グラーキは全身をこの棘で覆っていて、そのナメクジのような肉体から鋭い棘を操る描写が確認されています。そして爪や髪、虫などの外骨格と違い、その棘は生きた細胞であることも作中で確かめられています。この棘、どうも金属製だから棘と言われているものの、描写を見るにグラーキにとっては運用感覚が触手に近いんですよね。またこの棘、切り落とされると本体にダメージが入るらしく、悲鳴を上げて撤退しています。そういう点からも、多少欠けたところで痛まないし生え変わるような棘というよりも、全身金属であるが故に非常に固い触手であると考えた方が良いでしょう。

 金属製の触手を鋭くして注射にも使うんだからもう棘って呼んでも差し障り無いよね……位の感覚です。

 

【能力について】


 この棘を用いて毒液の注入を行います。

 そもそもこの棘で刺されると大抵死ぬのですが、更にそこから毒液を注入すると、グラーキの意のままに動くゾンビとなってしまいます。ゲームであれば、運良く毒液の注入前にその棘を抜くことができて、刺された時点で生きていたなら、ゾンビにならずに生きて帰ることもできるとされますが、そこは書き手やKPの塩梅で決めていいと思われます。

 また、毒を打ち込まれた後のゾンビたちですが、グラーキの従者(同じゾンビ仲間)を増やす為に、グラーキの指示に従って行動します。常に行動を縛られている訳ではなく、普段はある程度自立して活動が可能ですが、グラーキにとって不利な行動ができるわけではありません。ただ、グラーキを崇める教団を結成し、聖典を遺したところ、結果として外部の者にそれを読まれて情報を与えてしまうというパターンはありえます。

 このグラーキの従者は日光に弱く、変身したての人間に近いものが短時間だけ行動するとかの例外を除けば、『緑の崩壊』と呼ばれる自壊を起こします。ゾンビを相手に一晩の籠城ができるわけですね。

 また、グラーキは夢を通じて自らの住む湖に犠牲者を呼び込むことができます。これはグラーキが拠点とする英国セヴァン谷の近くの湖から離れる程、力は弱まることになっています。しかし、ここで一つ気になっているポイントがあります。

 グラーキが拠点としているのは、果たして英国だけなのか、ということです。


【グラーキの住処】


 まず、最初にグラーキについて執筆したラムジー・キャンベルの「湖畔の住人」では、グラーキの棘がエジプトで発見されたとか、ハイチのゾンビはグラーキの力を利用して作られていると記述されています。また、COC七版でも、グラーキがアメリカに現れたという公式シナリオがあります。隕石に乗ってきたことまでは共通認識なのですが、どうにもそれ以外の部分に関しては記述に混乱があります。「湖畔の住人」の時点で記述の混乱は指摘されているので、これはラムジー・キャンベル先生が意図的に用意したの部分と推測されます。

 グラーキの描写についても、角度によって姿が見えたり見えなかったりという奇妙な現象が確認しており、光学迷彩や空間を捻じ曲げる魔術が関与していることが推測できます。

 「湖畔の住人」の影響を受けて別の作者が書いた「Ghost Lake(見えざる湖)」では、水を抜かれた筈の湖にグラーキが現れています。大事なのは湖というよりも土地そのものなのかもしれません。そもそも「湖畔の住人」の時点で、隕石落下によって発生した湖ということが言及されているので、隕石が落ちてさえ居れば湖自体は必ずしもなくても良いという可能性は十分考えられますね。

 故に勿論日本にグラーキが居ても良いのです。ちなみに日本は地殻変動が多いので隕石クレーターが痕跡として残りづらいのですが、現在唯一確認されているものとして南アルプスの御池山にクレーターが確認されております。おあつらえ向きにクレーターの近くには湖もあるので舞台としてはこれ以上無い場所です。

 現代日本でグラーキを使いたいあなたは、長野と静岡の県境にある御池山をぜひ使ってみてください。良い感じに道路が離れているので、なにかあった時には南アルプスエコーラインまでカルト教団から必死に逃げ出し、車を飛ばしてゾンビたちとカーチェイスなんて洒落込むこともできます。ワクワクしますね。俺もやりたくなってきた。


 限界集落オブ・ザ・デッド×邪神任侠のコラボ作品を書いたことがあるのですが、その時は限界集落オブ・ザ・デッドの主人公である恐山さんのお孫さんであるケイ君に巨大ロボットに乗ってもらってこのグラーキと湖で大怪獣バトルをしてもらいました。湖が居てゾンビが居れば「実はここにもグラーキは来ていたんだ!」って言いやすいので是非試してみてください。


【グラーキの黙示録】


 グラーキに支配されたカルト教団の一員が残した彼らの聖典です。11巻分書いたものを、逃げ出したカルト教団の人間があろうことか出版社に売りつけ、9巻分で出版されたことになっています。多くはグラーキの信者に寄って回収されてしまいました。ところが奇妙なことに、このグラーキの黙示録には12巻があるとされており、この12巻は読んだ者の下にイゴーロナクを招き寄せてしまうと言われています。

 グラーキに関係ない神についても記述があり、かなりの凸凹感がある魔導書になっております。グラーキの従者となったものはグラーキの記憶を得るということですから、その記憶を元に関係のない記述が紛れ込んだりしたのかもしれません。またこのような形で流出したのも、他の神が地球で信仰されるように、グラーキが信者を使って意図的に情報をリークさせた可能性もあるのかもしれません。


【最後に】


 以上がグラーキのお話になります。

 いや~神話的恐怖書きたくなってきましたね。

 定番のゾンビネタとつなげて美味しいグラーキは、様々な使いみちがある素敵な邪神です。是非信仰してみてください。

 ところでカクヨムでゾンビものといえば木古おうみ先生ですね。

 COCしようぜってお話してる先生とはまた別なのですが、ゾンビものつながりということでこちらを紹介!

https://kakuyomu.jp/works/16816452218692302365

 木古先生の最新作「魔王の生き腐れ」です。スラムのガキと余命短き女師匠の短くも濃厚で破滅に満ちた関係性の話で、ゾンビです。死体がとにかくたくさん出てきます。ゾンビが好きなあなたは是非チェックしてみてください。よろしくね!


 という訳で本日はここまで。

 くれぐれも次回まで闇からの囁きに耳を傾けぬよう。


【宣伝】


 現在、「氷海のヴェルヌ」で有名なカムリ先生を主人公(PC1)に迎えて、参加者全員で破滅的なお姉さんをぶつけて悲鳴を聞くという贅沢なTRPGの卓を囲んでいるのでご紹介させていただきます。

 なんの変哲もない暮らしをしていた大学生の前に現れる退学した元先輩、住所不定の不思議なお姉さん、姉なるもの、運命の出会いを果たしたミステリアスな占い師。彼女らが揃ったと同時に始まる奇妙な事件、失われた記憶の真実、そして愛憎渦巻く関係性。そんな楽しいダブルクロスのログが現在公開中! 私は姉なるもので参加しています!

 卓の進行に応じてどんどんログも更新されるので是非チェックして、「ファケアノスに抱かれるもの」と入れて感想をつぶやいてください。

 リンクはこちら!


「ファケアノスに抱かれるもの」

 http://ysui.sakura.ne.jp/DX2020/famfatal/

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