第三十七回 クロウリングケイオスってなぁに?①~イントロダクション・概論~

【初めに】


 ご無沙汰しておりました。職場がきつく、バタバタして全然更新できなかった感じです。けど転職活動の結果、薬剤師として本来やりたかった仕事のできる職場に再就職できたので一安心です。薬剤師としてのスキルもやる気もだいぶ落ちているのですが、リハビリの為に引き続き頑張っていきたいと思います。まあやる気が出れば僕もだいたいのことができる人間なので、きっと次の職場ではやる気全開でなんでもできちゃうことでしょう。俺の未来に幸あれ、ハレルヤ。


 と、言うわけで今日は“クロウリングケイオス”について紹介していきたいと思います。クロウリングケイオスって何? そう思う方もいらっしゃるでしょう。こちらは“ダブルクロス3rd”と呼ばれる異能バトル物TRPGの最新(2021/04/21現在)サプリメントで、そのものずばりクトゥルー神話について取り扱う一冊となっております。

 ダブルクロスは超能力者同士が格好良く戦ったり与太話をやったりするゲームなので、クトゥルー神話の恐怖と混沌と無力を混ぜたらどうなるのか心配に感じる方もいらっしゃるでしょう。ところがどっこい「死もまた死するものなれば」「がっこうぐらし」の海法紀光先生や元からクトゥルー神話慣れしているFEAR社のスタッフの皆様や坂本雅之先生&アーカム・メンバーズは最強なんだ。そもそもあの世代のTRPG系列創作者の皆様はほぼ全員クトゥルー神話通っていると言っても過言ではないんだ。FGO特集でも同じこと話してますが、あのあたりの年代は我々のようなニコニコ育ちの人類からは想像も出来ないほどの濃密なふれあいと実戦経験(COC等)を積んでいるので完璧なマッシュアップが可能なんですよ。秘儀が私たちの世代で失伝しかけてるとも言いますが、これは私たちの勉強不足なので一緒に学んで先達に追いかけていきましょう。

 それでは始まり始まり。


【クロウリングケイオスの世界観】


 詳細な内容は勿論ネタバレになるので言えないのですが、大まかに把握してもらえるように最初に簡単に説明をしておきます。

 クトゥルフ神話TRPGから入ってきた方には「シークレッツオブジャパン」「比叡山炎上」「デルタグリーン」「クトゥルフ2010」と言えば分かっていただけるかと思います。人間がそこそこ強い世界です。そして日本にはとてつもない神秘が秘められている世界です。比叡山炎上における異能者たちを遥かに越える異能者がPCなので、並み居る神話生物をバッタバッタ、そして神々さえも超高経験点PCならば殴り合いで追い払うくらいは可能です。ですが、すでに文明の中枢に邪神の魔の手は入り込み、人類は相互不信に駆られ、希望は少しずつ喪われつつある時代。いかにPCたちが強かろうと、それは人を捨て神話生物となることで得た強さに過ぎないのです……。

 ダブルクロスから入ってきた方には「エンドライン」「レネゲイドウォー」「陽炎の戦場」あたりの空気感を想定してもらえればいいかと思います。オーヴァードの存在は認められていて、だが大事な秘密は大衆に隠され、明日をも知れぬ戦場を日陰者として生きていくしか無い。政治的な陰謀、レネゲイドに限らぬ怪しげな力の胎動、そしてなによりファルスハーツの勢力が大きいのも特徴的ですね。なんにせよ未来に希望が無いことだけは保証します! みんなは鬱エンドifこねくり回すの好きだよね、僕も好き! めっちゃやれますよ。そういうの。

 それ以外の創作で言えば特に注目すべきは「死もまた死するものなれば」でしょう。これは海法先生が原作のクトゥルー神話を題材にした漫画で、単行本にはこの作品のフレーバーでCOCを遊ぶためのデータまでついているという気合の入りっぷり。邪神由来の技術や荒廃した雰囲気からは、この漫画の影響を感じずにはいられません。クロウリングケイオスを更に楽しむ為に是非一度漫画を読んでみても良いかも知れません。既存の都市伝説や怖い話に対してクトゥルー神話的解釈をかけていくあたりが、非常に面白いんですよね。


 ともあれ、こういった世界観(&システム)なので、よくも悪くもPCには負荷がかかるし、ゲームの処理がGM任せになってしまう事が多いです。ダブルクロスをメインでやってる側からしたらファジーすぎると感じるでしょうし、COCをメインでやってる側からしたら不自由さを覚えることも多いと思います。僕はダブルクロスをやるたびに不自由な思いをしてますし、COCやるたびに大雑把だったり理不尽だなと困惑しています。でもまあどっちも楽しいので実際にやってみたら楽しいと思いますよ。ちょっととっつきづらさを感じても実際やってみるのが一番です。マジです。


【データ】


 今回のクロウリングケイオスにおける最新データはアザトースシンドロームとステージ専用のワークスです。

 シンドロームというのは能力の種類だと思ってください。

 そしてワークス、これはキャラの職業で、基礎能力値や初期技能に関わります。このワークスはCOCプレイヤーなら見慣れた物がたくさん追加されました。逆を言うとこういうワークスが今まで無かったんですよね。ダブルクロスでクトゥルー神話ネタやる時すっげえ不便だったんですよ。クロウリングケイオス無い時代から一人でクロウリングケイオスをやってたんですよ俺。すっげえ不便だしすり合わせ大変だしもう本当にキツかった。世界観を壊さないマッシュアップって面倒くさいんですよ、本当に面倒くさい。嫌う人も当然居るのでどこでも使えるネタじゃないし。でもクロウリングケイオスが出たのでもう安心。クロウリングケイオスの中ならいくらでもぶっこめますからね。福音ですよこのサプリは。

 余計なことを話しすぎましたね。TRPGってやるほど色々起きるんですよね……いや、やめようか。さあ次に進みましょう。あのGM絶対に許さねえ(湧き上がる深淵)……けど次に進みましょう。


 ここでの本題はアザトースシンドロームです。アザトースシンドローム、強いです。「基本ルールブックとこのサプリだけで遊べる!」がクロウリングケイオスの宣伝文句ですが、残念ながら基本ルールブックに載ってるデータの全てを過去にする勢いでイカレたデータがたんまりと載っています。

 白兵(殴り合い)とRC(超能力による攻撃です)が強く、情報収集も強く、火力も範囲も高く、経験点が上がると敵の攻撃への反撃なんかも狙っていく余裕があります。なんでもありです。ウルトラマンになったり、レムリア・インパクト決めたり、そういうものすごいこともできちゃいます。基本ルールブックのオーヴァード(超能力者)では明らかに見劣りします。クロウリングケイオスから入った方がアザトースシンドロームのみを持つオーヴァードで頑張って、それを経験者がサプリを積んだ他シンドロームのキャラで支えるのが恐らく一番安全ですね。

 多分基本ルルブでアザトースシンドロームと張り合うの正直きついです。ただ、強いと言ってもサプリ盛々の他のシンドロームと比べれば強いだけでデータの幅は控えめです。基本ルルブとクロウリングケイオスだけで遊べるという表現が誤解を招くだけで、そんなにぶっ壊れたデータとかは無いので大丈夫ですよ。

 まあ誤字・誤記・誤植が多いので文章がぶっ壊れてますが……。FEARの中の先生がたも忙しいのでゆっくりエラッタ待ちましょう。


【登場NPC】


 ダブルクロスで有名なキャラとクトゥルー神話で有名なキャラがガッツリ混じっています。都築京香が居て、ランドルフ・カーターが居て、キザイア・メイスンが居て、春日が居る。

 ダブルクロス側のキャラは世界の悲惨さの表現に、神話側のキャラクターは新要素の導入に、それぞれ役割を持っていると感じました。COC側から入った人は、このサプリのイメージで普段のダブルクロスに参加するとびっくりするかも知れません。基本ルルブから続投しているキャラもそこそこいるので、ぜひ見比べて楽しんでください。

 ダブルクロス側から入った人は、神話側のキャラについて掘り下げると大変手間になるので、余程気に入った場合じゃなきゃそんなに詳しく調べなくても良いと思います。気になるところがあったらこちらまで質問してください。


【神々の扱い・設定】


 クトゥルー神話における神々と、このクロウリングケイオスにおける神々の扱い・設定は、そう違うものではありません。クトゥルー神話が好きな方々が思い浮かべる旧支配者たちは、このクロウリングケイオスの中でも変わらぬ力を持ち、見覚えのあるカルトを従えています。

 ですが、ここはダブルクロスの世界です。この世界における超能力は、邪神の力の断片である以上、我々が知るクトゥルー神話の設定とは細かな差異があります。クトゥルーの見た目がタコだったりイカだったりオウムガイだったりするような、そういうズレです。作者によって邪神の描写もちょっとずつ変わるような、そういうズレです。どう違うのかについてはぜひクロウリングケイオスのサプリを読んでいただければと思います。超能力を使った異能バトル物にするにあたって、最低限で最大の効果をあげるようによく練られた設定の微調整をかけられています。匠の技ですよ。


【ブレイクタイム~小休止の雑談~】


 はい、扱う内容が多すぎるので当然一回で収まりませんでした。

 なのでここで小休止です。次回は五千文字突破は確実です。

 次回はクロウリングケイオスのサプリメントの中にある「クトゥルー神話由来の小ネタ」と「ダブルクロス由来の小ネタ」を可能な限り説明していきます。魔術についても触れたいですね。

 あと正直に言えば「これ本当はそういう小ネタなんじゃないの?」って思える仄めかしもちょこちょこあったのですが、断言できるものだけを取り扱うことにしました。そうしないと多すぎてもう絶対無理なんですよ。年表と土地のデータだけで一時間~二時間くらい熟読し続ける羽目になったんですよ。流石に大変です。

 美味しいネタの取りこぼしは可能な限り避けたいのでゆっくり読み直しますから、続きはもう少しだけ待っていてください。


 それでは休憩の間、くれぐれも闇からの囁きに耳を傾けぬように。

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