第三十八回 クロウリングケイオスってなぁに?②~用語・地名・歴史年表・その他ワールド設定関連小ネタ~

【初めに】


 はい、小休止おしまいです。まさかこの回から読んだ人はいませんね? ここから今からサプリメントの中の小ネタ&魔術についての紹介と解説をおこないます。びっくりするほど大量にネタがあるので実質これからが本番と言って良いでしょう。

 先程の講義で「上の世代のクリエイターさんは高確率でクトゥルー神話の嗜みがあるので自然にぶっこんでくるんですよ」みたいな話をしましたが、まあそういう方々が自由に自作品と神話をマッシュアップすると「まあこうなるよな」としか言いようがない恐ろしいネタ量になってました。やっぱすげえよ、このサプリ、本当にすげえよ。

 一緒に興奮してもらえるようにバッチリ解説しますので、この紹介を読んでクロウリングケイオスを更に楽しんでください。それでは講義再開です。


【小ネタ集~用語編~】

・ワーディング(無名の霧)

 はい、ダブルクロスといえばこれ、ワーディング。ダブルクロスというゲームにおいて「人目を気にせず秘密で戦える領域の形成」というゲームの根幹をなす異能なのですが、それがなんと無名の霧と関連付けられています。

 これは大変なことです。無名の霧(名も無き霧)とは、クトゥルー神話における原初の神、アザトースが直接生み出した存在なのです。描写が少なく、作家ごとに扱いは違うのですが、アザトースの直系という点は変わりません。こんな世界観の根幹に関わる存在の名前が、同じくダブルクロスの「日常の裏で繰り広げられる戦い」という根幹を支える異能と密接に関わっている。この記述を見て、私は「このクロスオーバーは本気ガチだ……!」とビビったのです。

 詳しい内容はサプリを見てもらいたいのですが、クロウリングケイオスにおけるワーディングは神々による世界の制圧と言っても良い現象に仕上がっています。怖い。


・レネゲイドウイルス

 これは恐らく偶然だとは思うのですが、クトゥルフ2010における深きものどもの描写に類似しています。クトゥルフ2010ではインスマス面が加齢に伴って細胞内で浮遊していた塩基の断片がDNA内部に組み込まれて、肉体が作り変えられていましたが、ダブルクロスにおいてはウイルスの形でDNAに潜み何がしかの刺激によって人体を変異させます。どちらも変化が起きてからでなければほぼ分からないのが特徴的です。どちらの作品でもそうなのですが、あくまで人智が追いつく範囲で解釈すればDNAの理不尽な挙動となるだけで、こういった遺伝子工学的アプローチのみで邪神の全てを理解することはできないことは忘れずにいましょう。

 ちなみにこのクロウリングケイオスのサンプルキャラクターには、インスマス面(深きものども予備軍)で半魚人化したキャラも居ます。毎度PC1的なポジションを担うサンプルキャラクターです。


・ロイガーノス

 中央構造体のツァールとロイガーノスですが、これはオーガスト・ダーレス先生の「潜伏するもの」をモチーフにしています。この作品のオチですが邪神覚醒と旧神到着による大戦争により周囲は焼け野原になり、主人公は旧神の部下“星の戦士”に救い出されます。ツァールとロイガーノスを封印していた街は滅びました。

 あと中央構造体ってどこだよ中央構造線(日本のど真ん中にあるでかい活断層です)じゃないのかよって思ったのですが、これについての記述は今の所見つかりませんね。どこかの街の地下になにかあるのかなと最初は読み飛ばしてたのですが本当に何もねえ。

 ちなみにロイガーノスという邪神もいますが、この作品におけるロイガーノスは「ロイガー」と見ていいと思われます。ツァールと一緒に並べられてますしね。


・バイオモーフィングアーマー

 日本には神話的存在の影が古くからあったのだ! 技術力で世界に名を馳せるあの大企業には、ミ=ゴからの技術供与が! などと真面目にやった海外発売サプリ「シークレッツ・オブ・ジャパン(SOJ)」という作品がありまして、そこに出てくるネタを使用したと思われます。全体的にSOJのとんでもない日本を、現代の価値観で問題にならないように上手くまとめ直したデータがルルブのそこかしこに見られ、クローリングケイオスは実質SOJと言っても過言ではない説が僕の中で出ています。ちなみにSOJはCOCのルールブックやサプリの挿絵、それにシナリオライターとしても活躍なさっているY`ha(イハ)先生がコツコツ翻訳なさって紹介してくださっているので皆さん是非チェックしてみましょう。

 やべー描写多すぎて日本じゃ公式に売り出せなさそうで面白いんですよ。具体的に言うと皇族関連ネタが本当に危険で、他はハハナイスジョークって思うんですが、日本の作品でも四文字の神様とか宗教系のネタが海外に売り出す時にやばいのと同程度にはやばいので残念ながら日本版では売っちゃまずそうなんですが、クロウリングケイオスはある意味マイルドSOJって側面はありますね。


【用語集~マップ&年表編~】


・満月の夜に祈りを捧げると恋人が見つかる海水浴場

 夏だ! 海だ! 深きものどもも恋の季節! 今日の「ダンウィッチが来た!」では、夏場に人間を誘拐して大繁殖する深きものどもの生態を特集します! 

 じゃないんですよ。日曜夜七時半じゃないんです。クトゥルーの眷属である深きものどもは浜辺の岩礁とかを使って派手に繁殖するんですね。素敵な恋人が見つかるじゃないんですよ。邪神の眷属が増えるのでそれは素敵ですが、巻き込まれた方はたまったもんじゃあないですよ。エッチなゲームでは女性が襲われたりすることが多いですが、勿論男性もターゲット。深きものどもと交配したことで有名なオーベッド・マーシュ船長も、最初の接触では男所帯の海賊船(交易船)のメンバーで深きものどもとやりとりをしていたので、女性型の深きものどもと繁殖しててもおかしくないんですよね。

 その後、マーシュ家は繁栄してますし、まあ素敵な恋人を見つけたと言っても良いのかも知れませんね。人類の危機の引き金引いてる気はしますが。


・三眼弥勒菩薩

 出たなニャルラトホテプ~! はい、ニャルラトホテプは「闇をさまようもの」と呼ばれる暗闇に燃え盛る三つの瞳を持つ化身が有名です。更に「黒い仏」というクトゥルー神話をモチーフにした変格推理小説があり、そこで顔の無い(ニャルラトホテプの特徴です)観音様が祀られ、また作中でその正体は弥勒菩薩信仰の変異したものであると指摘されるのですね。

 この三眼弥勒菩薩を祀ったお寺(妙蝕寺)は、「闇に棲みつくもの」で焼き払われたンガイの森を想起させるような形で、天からの火球で一度焼き尽くされたと記述があります。


・隕石落下に伴う動植物の奇形化

 宇宙からの色! 映画化作品“カラーアウトオブスペース”が名作と評判の宇宙からの色じゃないか! ラヴクラフト作品で最も映像化に恵まれ、そして原作も傑作と名高い宇宙からの色がこういう話なんですね。隕石落下とか言ってますが隕石じゃあなくてもっとやばいものです。宇宙からの色は短くて読みやすい話なのでぜひ一度読んでみてください。

 こんな物が落ちた場所に町なんか作るな。この事件一つだけでD市はもうおしまいです。おしまいのはずなんだけどな……?


・水族館のアルビノペンギン

 狂気山脈! また急に興奮し始めたと思われてますね。良いんですよこいつクトゥルー神話のことになると急に早口になるので。はい、このアルビノペンギンってのはやっぱりラヴクラフト御大の名作“狂気山脈”の中に出てくるかわいい生き物です。驚くべきことに本当に無害でかわいい生き物です。ショゴスって野郎が全部悪いんだ。ショゴスは人類の敵だ。場合によっては人間の社会の中に潜んでやがる汚い連中さ! 見つけ次第滅ぼそうな!


・三角破風

 三角破風の屋根。この言葉はラヴクラフト作品で多数扱われています。英語ではpediment。破風というと風除けの目的でのニュアンスが混じるのですが、pedimentは単純に建物の装飾として使われています。ラヴクラフトの時代、彼が好んだ町並みにはこの三角破風がしばしば使われていたそうですよ。なのでこの言葉が出てきたらラヴクラフト的オーラを感じ取ってください。


・神城タワーのねじれた二十四面体

 ニャルラトホテプ案件ですね。ニャルラトホテプに関与する魔術的物品の中に「輝くトラペゾヘドロン」と呼ばれるものがあります。このトラペゾヘドロンっていうのは、日本語に訳すると凧形二十四面体になります。面が多すぎてサッカーボールみたく見える立体をイメージしてください。ちなみにサッカーボールは切頂二十面体なので、厳密には違うから気をつけてね。

 ともかく、わざわざクトゥルー神話の文脈の中でそんなものをわざわざ入れている時点で神城も真っ黒です。もうおしまい。みんな発狂するしか無いのよ。

 ちなみにこの輝くトラペゾヘドロンは闇の中に閉じ込めるとニャルラトホテプの化身を呼ぶという厄介なアイテムです。そんなもののデザインを自社タワーに使うな……! 正気にもどれ神城……! お前は優れたエンブレムデータを提供してくれれば良いんだ……神の落とし子とか優良兵器とか! ともかく神城も真っ黒です。通常世界線の神城と同じと思ってはいけないです。ヤバい! 本当にヤバい!


・外人墓地、納骨堂

 モルディギアンとグール絡みのシナリオフックだと思って良いです。クトゥルフ2010の奇妙な共闘のように、グールは人間が嫌いな訳じゃないので、状況次第では手を組むことが考えられます。一部ヤバいやつはいますが人間だって頭おかしいとしか思えない凶悪犯は居ますね。凶悪犯じゃなくてもウマ娘プリティーダービー絡みで馬主さんに突撃かますやつが居るじゃないですか。そんな一部を見て人間全体が悪いなんて結論を出しますか? 違いますね? そう、グールも危険なばかりの生き物ではないのです。

 あと外人墓地ということで、海外から日本に逃げ込んできた魔術師orオーヴァード(ジャーム)みたいな話とかもできるので本当に便利な場所ですよ。ルーツ表でモルディギアンが出て、それ絡みの話をしたいときにはぜひ使ってみてください。


・ハイボリアの偉大な帝王

 キンメリアから世界で一番強い男が参戦だぁああ~! コナン・ザ・バーバリアン! はい、真面目に解説すると、この年代がラヴクラフトと親しく交際していたR.E.ハワードの作品「英雄コナン(蛮人コナン)」が舞台としていた古代文明なんですね。シュワルツネッガーが主演の「コナン・ザ・グレート」は知っている方も多いかと思います。奴隷が棒を回すやつです。さて、このコナンはラヴクラフトのクトゥルー神話ともクロスオーバーをしており、しかもハワードもオリジナルなクトゥルー神話を書いているので蛇人間などはR.E.ハワードの作品由来とされています。なのでこのクロウリングケイオスにもコナンと思しき人物が存在しております。

 さて、ここでいきなり宣伝です。

 最近、私はそのR.E.ハワードの作品の翻訳も手掛けるようになりました。もしよければこちらから私の手掛けた翻訳書も買っていただけると嬉しいです。。今後の執筆の為に! 応援すると思って! ここから買って!

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・海神“陀願”

 ダゴンです。クトゥルーの配下の下級の神だと思ってください。契約により従うものたちには富をもたらしてくれます。クロウリングケイオスにおいても、富貴をもたらしてくれる宗教のようです。

 富を齎すのはそもそもクトゥルー神話のダゴンも、ペリシテ人の神だったダゴンも同じです。ここらへんは元のモチーフを一貫して大切にしているんですよね。クトゥルー神話は色々な神話や創作をモチーフとして取り込んでいるのですが、ここまでモチーフに忠実なのは珍しい方です。


・媽祖堂

 長崎にマジであります。道教における海の女神様。中国はCOCでもラヴクラフト作品でも深きものどもの活動が活発。遣唐使の盛んだった時代に、逆に唐から来た高僧が実は邪教の知識を秘めていて……なんてのはよくある流れです。なお、H.P.ラヴクラフトは人種差別的な発言を繰り返したとされていますが、年齢と共に落ち着き、更に中国文明に関しては書簡で「我々の築いてきた文明よりも遥かに優れたものを築いているのかもしれない」とまで評しています。ラヴクラフト御大は中国由来のネタを多用していないのですが、彼の親友であるオーガスト・ダーレス先生が御大と温めた中国ネタを使用しています。


七秘聖典→フサンの七書


男女の髑髏→真言立川流、夜刀浦市


・元朝よりイスラム商人渡来

 かの有名な魔導書ネクロノミコンが書かれた土地、そして呪われし地としてラヴクラフトの作品に取り上げられた無名都市、これはどちらもラヴクラフトの作品ではイスラム圏とされています。なのでこのあたりから文化の流入があったという記述はクトゥルー神話作品だと「ネクロノミコン流出フラグ」「クトゥルー神話の魔術伝導フラグ」くらいに思ってくださってオッケーです。


・愛宝神社

 アイホートと呼ばれる邪神がいます。「クトゥルフ神話 探索者たち 鈴森君の場合」でも活躍した邪神なのですが、こいつは狙った人間に自分の雛を植え付けて苗床に変えるんですね。恋愛成就じゃねえんだよな。神輿だの祭りだのNPCの言動だのから非常に不穏なフラグが山積みになっているので、この神社の娘さん(公式NPC)を救うシナリオとかすごくやりやすいです。

 俺は長男でお兄ちゃんなので高倉なづなちゃんの兄になって妹を救うために全力でお兄ちゃんを執行するブラム・ストーカーのオーヴァードやりたいです。見せてやりますよ、破壊の血・オーバーロード・デトネイトモードの武器攻撃力三倍拳。


・山住清鷹

 このキャラはリプレイ・トワイライトに出てくるボスなのですが、こちらでは神話的知識に触れたことが闇に落ちたきっかけになっているようです。黒蓮経、螺湮城本伝はどちらもこのサプリで出てくる魔導書です。

 黒蓮経は黒い蓮を薬物として利用するチョーチョー人の本。螺湮城本伝は、COCの世界観ではルルイエ異本そのものとされており、その中国語表記となっています。このサプリではルルイエ異本の原本として扱われています。

 なお、山住家の方が南極調査隊に参加していますが、これは狂気山脈が元ネタです。アルビノペンギンの話ともつながってきますね。


・無嘆法経典

 山田正紀「弥勒戦争」に出てくる魔術書(のようなもの)で、海法紀光先生がツイッターで「#魔術書と聞いてあなたが真っ先に思い出す3冊」にあげてらっしゃったので、このあたりは海法先生の趣味かなと推測しています。このサプリでは黒蓮経の別名とも言われています。


・マーシュ家

 深きものどもと交わった一族です。サンプルキャラのご先祖様である可能性が高いです。クロウリングケイオスではしれっと長崎に入り込んでおり、お前らマジアメリカから出てくるなと私は頭を抱えました。わずかにでも深きものどもの血が入ると今後のクトゥルーによる勢力伸長のリスクが跳ね上がるのに、かなり早い段階で長崎に入り込んでしまっていて、もうおしまいです。クロウリングケイオスの世界観は全般的に「もうおしまいだ」と言いたくなる要素が多いのですが、その一つですね。


・忌部蒼前の祟り

 名前の雰囲気的にイブ=ツトゥルの関係かなと思うものの、描写などがそれらしくないんですよね。イブ=ツトゥルはニャルラトホテプの子供で、黒い雪を降らせながら敵対者の命を奪う邪神です。旧神製サイボーグが邪神と殴り合うクトゥルー神話アクション活劇こと“タイタス・クロウ・サーガ”にも出演しています。

 戦国大名としてはイエズス会からネクロノミコンなどの厄ネタを集めていたので十中八九アウトなのですが、その結果として人ならざる存在になったのかもしれません。ただやっぱり、犠牲者に関する描写がイブ=ツトゥルらしくない。私の知らない・気づかないものがなにかあるのかもしれません。


・銀鍵堂

 クトゥルー神話において銀の鍵はありとあらゆる時空へと向かい真理を手にする為に使用される非常に重要なアイテムなのです。この文書を読む人類の皆様は多くが銀の鍵を持って“門”の向こう側に至ったことはないかと思われるので、ネタバレ回避の為に詳しいことは言わないのですが、この鍵を通じて神々の一つの真実、宇宙の一つの有り様について知ることができます。皆さんも銀の鍵を手に入れたら是非“門”の向こう側を覗いてみてください。

 こういった経緯があるので、教育機関の名前として使われているのではないかと推測しています。



・飛行機工場の建設時に現れた巨大な蜘蛛

 アトラクナクア(アトラック=ナチャ)に関係するものだと考えています。ただ、アトラクナクアそのものが現れたとは考えたくないんですね。“アトラック=ナチャの娘”と呼ばれる存在がクトゥルフ神話TRPGには居て、彼女らは元人間で毒蜘蛛の毒を生き延びた後に自らも巨大な蜘蛛に変貌した存在です。ダブルクロスのレネゲイド感染に流れが似ていますよね。

 アトラック=ナチャの娘は、アトラック=ナチャの、現実とドリームランドの境にある深い谷に橋を架ける仕事を手伝っています。そしてクトゥルフ神話TRPGのアトラック=ナチャは現在南アメリカ近辺に迫りつつあるということで、日本に居る可能性は低いんですよ。

 ですが、クロウリングケイオスは現実とドリームランドの境界が曖昧になっており、アトラック=ナチャの娘の活動が活発化している可能性は考えられるんですね。なので日本方面に侵攻を開始していた娘の一個体がたまたまD市で人間とかち合ってこの事件が起こってしまったとみるのが妥当かなと思っています。


・震源位置不明の地震

 クトゥルーが眠る古代都市ルルイエが浮上した際に、震源位置不明の地震という類似現象が起こっていました。またこの際には世界中で感覚の鋭敏な人間が悪夢などを見たとされています。小説の「クトゥルフの呼び声」とか、ぜひ読んでみてください。


・D市の長い夜

 「闇をさまようもの」という作品について、先程お話したかと思います。輝くトラペゾヘドロンについても触れましたね。実は、輝くトラペゾヘドロンこそが「闇をさまようもの」で鍵となった魔法の道具アーティファクトなのです。召喚されたニャルラトホテプの化身が、輝くトラペゾヘドロンの力を引き出した主人公を追う中で、町全体に一時的な停電状態(電気系統保全の為の停電状態)が発生し、その結果生まれた闇の中で主人公がニャルラトホテプによる死を迎えるという話なんですね。この長い夜の事件はその話がモチーフになっています。


・地下鉄工事とそれに伴う行方不明

 グール(食屍鬼)が地下鉄の線路にて跳梁しているのはあるあるネタです。具体的に言うとロバート・バーバー・ジョンソンの「遥かな地底で」が名作です。しかもこれ、オチも含めてすごいダブルクロス味があるんですね。ネタバレになるので詳しいことは言いませんが、青心社の『クトゥルー13』あたりで読んでみてはいかがでしょうか。

 なお、この地下鉄にいるのはグールの中でも過激派で、積極的に人間殺して死体にして食うタイプです。果敢に立ち向かいましょう。グールにも良いやつは居るけど、こちらの命を狙う相手に呑気な事は言ってられませんからね。


【D市についての個人的所感】


 危険なネタ、シナリオフックが多すぎます。勿論ですがこんなの弱体化したUGNだけで対応しきれる訳がありません。現在PC使用を禁止されているFH勢力や、ティンダロス・ストレンジャーズなどがかなり激しく戦っていることは確かでしょう。

 ただ、その割にはやっぱり平穏が保たれているので、もしかしてD市には複数のUGN支部みたいなのが有ってもおかしくないのではないかなと思っています。いくつかUGN支部があってゆるく連帯して、それぞれ別の勢力と結びつきがあって……みたいなやつが……。

 これだけ厄ネタが有るともうとっくにFHとかカルトの巣窟になっててもおかしくないんですよ。ラヴクラフトカントリー~Over Quartzer~みたいな、スーパー神話作品大戦みたいなごった煮状態なので。

 絶望的な戦況でUGNが戦うのが醍醐味のステージかもしれないけど、あまりにも抱えている案件量が絶望的すぎてハッピーエンドから逆算すると支部複数必要なんですよ、どこかで起きる連鎖爆発に対応しきれないし。

 だから同じD市で複数キャンペーンが並行とかそういうのありだと思うんですよね。ガチでこの町しゃぶり尽くすなら。この町で単独支部で全シナリオフック突破は本当にジャーム待ったなしなので……。誰かやりませんか? 誘って?

 私はそういうコンセプトの卓をお待ちしております。


【小休止】


 今回も驚くほど長くなりました。でもまだ話す内容があるんだ。信じられないだろう。俺も信じられない。何と言えば良いのか本当にわからないのですが、本当に面白いです。今回やると言っていた魔導書の話ですが、書くとどう考えても1万文字突破するので更に分けました。執筆は続くよどこまでも。転職に伴って新居探したり、研修認定薬剤師の通信講座受けたり、今は言えない諸々をやったり、色々やりつつ書き進めていくのでよろしくおねがいします。

 次こそは5000文字くらいで収められるかなと思っています。くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです5000という数字が。シルエットが浮かんできたんです。待て、違う、俺は狂ってない。俺は正気だやめろーっ!


 さて、この文章は個人でやっており、勉強不足で説明しきれていないところや解説を誤ることも当然あるので、気になったことや気づいたことがあったらぜひ教えて下さい。

 それでは小休止! 英気を養って次の講義までくれぐれも闇からの囁きに耳を傾けないように気をつけてください!

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