第16話 空
街の人々が空を眺めています。
「あれはノスリさんなのかなぁ」
北の山が削られて、南の湖は埋め立てられ、流行り病は落ち着きました。
確かに山の天辺のお城には、つい最近まで誰かが住んでいた跡がありました。そこには貸本屋さんがノスリさんにあげた本もたくさんありました。でもあれ以来ノスリさんの姿を見た人は誰も居ません。
そのかわりに、最近になって街の上空を飛び回っている小さな鷹のような鳥を見かけることが多くなりました。その鳥を見て、街の人々はノスリさんとあの小さな少年を思い出すのです。
ノスリ 如月芳美 @kisaragi_yoshimi
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