第2話

-桜は綺麗だ、春との花と言えば?と聞くと、多くの人が桜と答える、それが常識と思う人もいる。

けれど、私は椿が好きだ、真紅の花、寒い冬にも耐えうる強さ、そして何よりも…。

「おーい椿城、何ぼーっとしてんだよ、さっさと廊下に並べ。」

しまった、もうそんな時間なんだ。

「あっ、はい!ごめんなさい!」

「ったく、お前は行動が遅いなぁ。今朝も遅刻ギリギリだったし、どんな時間に起きてるか知りたいくらいだ。」

「うっ…起床については善処します…。」

「今はそんな事どうでもいい、さっさと並んでくれ、俺はせっかちだぞ。」

せっかちだという事もどうでもいい気がするんだけどね。

桜が満開の校庭、桜も好きだけど、やっぱり私は、自分の苗字『椿城』にある椿城が大好きだ。

「さぁ、お前達、入学式だ、先輩の前で恥かくような事するんじゃないぞ!」

同級生が列をなして廊下を歩く、何回見た光景だろうか。

だけど今年は全員が同じ学校から来た訳じゃない、新鮮な光景だ。

入学式が始まる、私の物語が始まるんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕と試験管の365の日常 北の村から @kendoo0110

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る