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卒業して、私は小さな会社を興し、ウチの商品を認めて商社のアプローチがあった。その商社の部長さん一行三人を接待することになった。私が使っていた寿司屋を使おうと云うと、「あきまへん、商社ゆうても、日本でも3本の指に入る会社でっせ。社長とおんなじにしてはあきまへん。そら神戸でも一流のとこでないと。私が前いてた会社で知っているとこがありますから、そこを使いましょう」と営業部長が答えた。
神戸に帰って来て、最初に喰った寿司屋で、好きなイカとアナゴばかり注文していたら、「わかっちゃいねぇーんだから」とカウンターの向こうの主が言った。「寿司なんてわかって食うもんやなかろうが・・」と思った。それからは気取った寿司屋には行かず、会社の近くにある味も値段もそこそこの寿司屋を利用していた。
勘定を払った。いくら経費で払えると云っても、「なんちゃー、この値段は!」泣ける値段であった。営業部長の顔を見た。彼は至極満足気な顔で、「ああー、こいつが来たかったんや」と知った。
そうだ、「おーい!中村くん」で思い出した。彼が学生時代大阪に旅行した折、出来て珍しかった回転寿司店に入った。好きなイカと、穴子(なぜか好みが同じ)を待ったが、隣の人も同じものが好きらしく、手前で皆取られたとかで・・「あんなもん、流行るもんかぁー」と言っていたが、最近結構人気が出て、神戸にも出来たらしい。
次の接待は、回転寿司を利用しょうと決めた。それで商社の話が進行しないなら、それは私とこの商品がイマイチと云うことだ。
それにしても、あの亭主に握って貰った寿司は最高に美味しかった。いくらお金を払っても、もう食べられないだろうなぁー。
出世寿司 北風 嵐 @masaru2355
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