『アメフクラカエルちゃんの冒険』
shiki
『アメフクラカエルちゃんの冒険』
おいらの名前はアメフクラカエル。
出身は南アフリカなんだけど、とんだいざこざに巻き込まれ気づいたらジャパンという国に来てしまっていた。
ここは思った以上に住みやすい。
うちの中にいるのも飽きてきたしお腹もすいてきたからちょっと外に出てみようかな。外に出るのはいつ振りだろう。
おいらはカエルだから日付感覚なんてわからない。それにしても今日はやけにあったかい。
やっぱり家は快適だなぁ。
外に出てまだ間もないがすでに家が恋しい。
でもまあ外に出たついでだしちょっと遠出でもしてみるか。
気分がいいからいつもは土の上しか歩かないおいらだけど今日はアスファルトでもあるいちゃおうかな。
まあ何事も挑戦が大事だよね!アスファルトって意外とあったかいな。
気分よく歩いているとどこかから視線を感じる。
あれは平和の象徴のハトだ。
おいらのことをじっと見ている。
おいらはハトさんに話しかけた。
すると平和の象徴のハトさんは狩人の目をおいらに向けくちばしをカチカチならしながら近づいてきた。
まさかあのハトさんが。
ハトさん冗談きついっす。
おいらはいちもくさんにその場から逃げだした。
何とかハトを振り切って一息ついた。
やはり外に出るべきではなかった。一体ここはどこだろう。周りを見渡してみる。
そこには一匹の干からびたミミズがいた。
そのときおいらは自分の身体の異変に気付いた。
なんだか身体が渇いているような気がする。
手足を動かすのもだるい。
おいらもあのミミズのように干からびてしまうのだろうか。そのとき高校生のカップルがそばを通りかかった。
「ゴミかと思ったらカエルだ!!きゃあ気持ち悪い!!」
女はわざとらしい声を出して男に抱きついた。
男もまんざらではない顔をしていた。
おいらはみじめな気持になった。
そのまま死んでしまった方がいいのかもしれない。
そんなおいらをなにかがつつくような気がした。
心なしか身体が潤っている気がする。それは大粒の雨だった。助かった。だけど本当に助かってよかったのだろか。
気分は晴れないまま土にカエル
『アメフクラカエルちゃんの冒険』 shiki @shiki_rock11
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