第2話 ハイビスカスを貴方へ(ミカセ視点)

「あの、サナミ様」


「うん?どうしたの、ミカセ」


後ろに隠した小さな包みをそっと撫でる


心臓が煩い位バクバクといっている


「そ、その、えぇっと」


予想以上の緊張で上手く言いたいことが言えない


あぁ、もう

こんな自分が嫌になる


言いたい事位、パッと言えるようになりたい

サナミ様みたいに、惜しまずに人の良い所を恥かしがらずに言いたい


「い、いつもお世話になっているので、お礼・・・です」


そっとサナミ様の顔を盗み見れば

目を見開いてキョトンとしていた


「あ、あの、迷惑だったでしょうか?」


「・・・・・・ううん、すっごく嬉しい

 けど、何だろ・・・現実味が無いというか」


次の瞬間、サナミ様は椅子から立ち上がって

思いっ切り私を抱きしめた


「ありがとーーー!!」


「わっぷ」


暫く抱きしめたと思うと

次はパッと離れ、私から包みを取る


「開けて良い!?」


「はい」


嬉しそうに小包を開けて、中身を取り出す


出てきたのは、ハイビスカスの髪飾りだ


「ハイビスカス?」


「はい、花言葉がサナミ様にピッタリだったので」


「ハイビスカスの花言葉って勇敢だよね?

 私はそんなに勇敢じゃないんだけどなぁ?」


不思議そうに手元で髪飾りをいじる


「ハイビスカスにはもう一つ花言葉があるんです」


「え、そうなの!?」


驚いた

サナミ様が知らなかったなんて


「え、ねぇねぇ

 ハイビスカスのもう一つの花言葉って何?」


「えっとですね、『常に新しい美』です」


「それが私にピッタリなの?」


「はい

 この花言葉は、ハイビスカスは1日で萎んでしまうけど

 常に新しい美しい花を咲かせ続ける事から来てるんです」


この髪飾りを選ぶ時に教えてもらった知識を説明する


「だから、常に私にこの世界の新しい美しさを教えてくれる

 たとえ、それが穢れてしまっても、また新しい美しさを見せてくれる

 だから、それを教えて下さるサナミ様にピッタシだと思ったんです」


貴方に出会う前だったら、絶対に出来なかった

心から笑うという行為


それが今では、こうも簡単に出来る


貴方は嬉しそうに、気恥ずかしいようにはにかむ


けど、一番嬉しいのは

ようやく渡せた、私なんですよ?


まぁ、今は2人とも幸せってことでも

十分すぎるんですけどね

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心の宝石店~番外編短編集~ 星河夜空 @kokoroutusi

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