軽妙な語り口の味わい、悪夢の果てに着地する現実の匙加減に、平凡なホラーにおさまらないセンスを感じます。
精神的な怖さもあり、霊的な怖さもあり、スプラッタ的な怖さもあり。ぬいぐるみの言葉はちょっとくすっとできるところもあり、よくばりな作品。
降霊術である〝ひとりかくれんぼ〟をしようと思った小学生の少年アユムが、ゴミ捨て場で見つけたクマのぬいぐるみは、すでに霊に憑りつかれた《喋る人形》だった――。この喋るクマが、曲者です!前の持ち主であるエリナと、その恋人ミチハルとの間で起きた泥沼な出来事を、まるで悪魔のように楽しそうにアユム少年に話します。そのクマの本性と、最後に迎える結末は不気味の一言!ホラー好きの方。ぜひご一読ください!
斬新な切り口に感心します。また怖い話が好きなのに怖がりの私にとって、この距離感は絶妙でした。親しめる異形という題材はどこか安心して読めます。しかし決してホラーとしての形は崩れていないため、そのギャップがいっそう胸に突き刺さるものとして物語を仕立てあげています。おそろしい。
思わずそう聞かずにはいられない作品でした。 面白かったです。
大好物の後味悪い系です。