第2話生徒会長の決意


「伝説の魔法鉄壁ガードを使える者が現れただと?」


生徒会特別調査委員から報告された内容は静まり返る生徒会室に普段は冷静な生徒会長の若干裏返った声が響く。


幸い生徒会室は苺柄学園の中でも選ばれた生徒のみが入室することの許される特別エリアにあるため一般生徒達にはこの話は聞かれることはないが……。


苺柄学園は委員会専用の特別校舎が用意されており各委員会の生徒達は放課後に行われる会議を用意された各部屋で行う。


特に生徒会は苺柄学園内で絶対的な権力を持ち、委員会の生徒達も学園との付き合いが深いエリート一家の子息子女達で構成されている。


ゆえに苺柄学園では生徒会の命令は絶対であり、知らずに逆らった生徒達は闇へと消されるのがこの学園の暗黙のルールなのだった。


入学式を無事に終え、新年度初の生徒会会議はある2人の兄妹の入学で持ちきりだ。


高校一年生の兄水島マモル、中学一年生の妹水島ミセル……有名コスプレアイドルの妹ミセルはすでに学園内でファンクラブが設立されており入学式はミセルの握手会アンドサイン会の会場と化していた。


だが問題はそこではない……。


妹ミセルは有名コスプレアイドルだけあって露出度が異様に高い。

激ミニニーソで現れたミセルの絶対領域に男子生徒達は喜ぶ反面、校則違反で反省部屋に速攻で送り込まれると疑わなかった。


しかし、ミセルは激ミニにもかかわらず一度も下品なパンチラをしなかったのだ。

苺柄学園は挑発的な萌え系学生服のわりに校則に厳しく僅かなパンチラも許さない謎の校風。


今朝も春風のチカラで偶発的にスカートが捲れ上がった女子生徒がパンチラ専門警備隊により連行されて行った。


にもかかわらず1番の露出度を誇る水島ミセルは一度もパンチラをしなかった……原因はすでに分かっている。


『鉄壁ガード』


苺柄学園の女神像に選ばれし生徒のみが使いこなすことが出来るという伝説のチート魔法。


鉄壁ガードを使っている疑惑があるのは水島ミセル本人かそれとも兄の水島マモルか……?


英国風のインテリアに囲まれた優雅な生徒会室で、ロイヤルミルクティーをチョコクッキーとともに堪能していた生徒会長の綾部メクルは銀縁のメガネをカチャリといじり狼狽した……しかし生徒会長の威厳を保つためにすぐに平静を装った。


「伝説の魔法鉄壁ガード……選ばれし生徒のみが使えると謳われていたがまさか今さら蘇るとは……あんな激ミニで校内を闊歩されたら校風が乱れてしまう。 だがパンチラしないとなると取り締まることが出来ない。 どうしたら?」


生徒会の威厳すら損なう可能性のある激ミニと謎の鉄壁ガードによる絶対にパンチラしない現象。


綾部メクル(高2)を筆頭に厳格な生徒会役員達は真剣な面持ちで水島ミセルのミニスカについて会議だ。


「生徒会規則に従えばパンチラした者のみが反省部屋に送り込まれる……パンチラしないミニスカートが日常化されるとなると取り締まる方法がなくなってしまう……」


メクルの双子の姉で生徒会副会長の綾部薫子(高2)が唇を噛み締める。


綾部薫子は生真面目な性格で昔ながらの黒髪三つ編みヘアにメガネという絵に描いたような堅実な容姿を心がけているが、神が彼女を弄んでいるのか清楚とは程遠い天然の美貌に恵まれた人形のような顔立ちとナイスバディFカップ巨乳の生まれつきセクシーな体型と常時流れ続ける妖しいフェロモン、口元の色っぽい小さなホクロのせいで常日頃男子生徒達からいやらしい目で見られ続けてきた。


「この世からセクハラをなくすことが私の夢なのに……!」


まさかの鉄壁ガード魔法使いの登場に涙を流し始める薫子……このままではスクール水着ですら妖しく着こなしてしまう薫子にさらなるセクハラ目線が集中するだろう。


弟メクルに勧められ校風の乱れを守るために薫子がモデルとなり一度だけスクール水着でグラビアポスターを制作してしまったせいで薫子のあだ名は『Fカップ巨乳エロいスク水の薫子様』だ。


「泣かないで姉さん……くっ鉄壁ガード魔法め! このボクが生徒会長の名にかけて鉄壁ガードを封印してやる……! 絶対に水島ミセルをパンチラさせるんだ!」


シスコン気味の生徒会長は双子の姉薫子のために風紀を乱す鉄壁ガードを打ち砕く事を決意した。


実は生徒会長綾部メクルは水島ミセルのコスプレメイド服トレーディングカードを後生大事に生徒手帳にコレクションしているという重大事項を姉には内緒にしながら……。

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お兄様は鉄壁ガード魔法使い! 星河由乃 @yuino_y115en

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