お兄様は鉄壁ガード魔法使い!
星河由乃
第1話女神からの指令
『私立苺柄学園』
学校名は苺柄(いちごがら)と書いて(いちえ)と読む。
関東地方の中規模都市に位置する苺柄学園は品格と伝統を重んじる中高一貫の超有名校である。
男子の制服は白い学ランでズボンは紺色。
女子の制服は襟元がセーラー風の白ブレザー、スカートは赤のチェック柄。
オシャレな制服を品格よく着こなすことも苺柄学園の生徒達に課せられた使命である。
そんな伝統ある学校だからこそ、絶対にあってはならない女子生徒のタブーがあった。
この学園における女子生徒のタブー。
それは『パンチラ』である。
この中規模都市の自慢の伝統校の女子生徒が下品なパンチラをすることは絶対にあってはならない愚の骨頂であり、教師、生徒、保護者はもちろん近隣住民の皆さんからご協力を頂いてでも苺柄学園の女子生徒のスカート丈を監視する必要があるのだ。
たとえ学校の名前がパンチラを彷彿させると影で囁かれていたとしても……。
そんな品格高い伝統校に1組の兄妹が入学してきたことで状況は一変する。
黒髪メガネの堅実な兄『水嶋マモル』高校一年生。
茶髪ツインテールミニスカニーソの妹『水嶋ミセル』中学一年生。
特に中学一年生にして茶髪にピアスの妹ミセルはジュニアアイドル出身の有名コスプレイヤーという経歴も手伝って入学前から一部の生徒達の間で注目の的となった。
萌えの具現化であるような妹はキュートな制服が大変気に入っており入学式初日に早速細工をして丈をミニスカ仕様にチェンジしてしまう。
「おにーちゃん! 見てこの制服! 可愛いでしょう?」
妹は新しい制服が嬉しいのかはしゃぎながらクルリと一回転して兄にミニスカをヒラヒラさせて制服を見せた。
ヒラヒラヒラ! チラッ!
もちろん激ミニ仕様な制服からはパンチラを誘発する危険性が高い。
しかもここは生徒達が行き交う学園の校門前である。
入学式初日でもうタブーを破るのか?
下手をすれば兄妹揃って退学処分だ。
♫ ウィーン! ウィーン!
兄がそんな不安を抱いていると物々しい警報が鳴った。
『学校内で女子生徒が1名パンチラした模様です。警備員が女子生徒を保護します。他のみなさんも保護にご協力下さい』
いたぞ!
パンチラ女子生徒だ!
ひっ捕らえろ!
ダダダダダッ
完全武装の警備員達が校庭内でパンチラした女子生徒を囲んでいた。
「誤解です! たまたま春風が私のスカートをめくって……わざとじゃないんです!」
「言い訳無用だ! 反省室に連れて行け!」
ラジャ!
隊長らしき警備員が指示するとミニスカ女子生徒は数人の警備員達に連れられ体育館裏の反省室へと消えて行った。
マモルはこの状況を見て自分の妹のミニスカぶりに危機感を抱いた。
(どうしよう……ちょっとパンチラしただけであんな風に連行されるなんてせっかく伝統校に入学したのにすぐに退学処分にされてしまう……)
そんな兄マモルの悲痛な胸の痛みが校門に象徴として設置されている銅像の女神に通じたのか女神がマモルに話しかけてきた。
「水嶋マモルよ……あなたの悩みはよく分かりました。あなた方兄妹が無事にこの学校を卒業できるように私が魔法のチカラを授けましょう……」
魔法のチカラ……?
「パンチラ鉄壁ガード魔法……このチート魔力をあなたに授けます。さあ行きなさい! あなたはこの3年間、妹のパンチラを全力で阻止するのです! そしてあなたが卒業する前に妹をパンチラしない完璧な淑女に育て上げるのです!」
ピカッ!
石像が光輝きオレの右手に光が宿った。
「おにーちゃん! 早く行こうよぉ〜」
妹がミニスカをはためかせながら校門を潜ろうとしている。
マズイ!
オレが右手を振りかざすと光が放たれ謎のオーラが妹のミニスカを包みどんなにミニスカをひらつかせても絶対にパンチラしないのであった。
「……これがチート魔法、鉄壁ガード……」
パンチラを阻止する謎のチート魔法を得たオレは、この学園で妹のパンチラを阻止するために闇の生徒会組織と命がけの戦いをすることなるのだが、この時はそんなことになるとは夢にも思わなかったのである。
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