ふさわしい動物名
戸松有葉
ふさわしい動物名
ある時ナマケモノのもとに、一羽の鳥がやってきて尋ねた。
「浮かない顔をして、どうしたんだい」
「実は俺、人間に不名誉な名前を付けられて」
ナマケモノ。
「酷い! それならこっちも、人間に名前を付けてやろうじゃないか」
案は色々と出た。
うじ虫、寄生虫、ゴキブリ、猿、ゴリラ、ハイエナ……。
しかしどれも、すでにいる動物たちに失礼だ。
鳥は困り、
「馬鹿でどうだ」
「馬さんと鹿さんに失礼だよ」
「なら阿呆でいこう!」
ようやく決まった。人間にふさわしい名前が。
鳥は飛び立つと、人間に向かって力の限り叫んだ。
「アホウ! アホウ!」
聞き届けた人間は、その鳥の名前を決めた。
(了)
ふさわしい動物名 戸松有葉 @anakamasyouta
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。