自覚的な裸の王様

戸松有葉

自覚的な裸の王様

 王は美しい服を求めて、何度も作り直しを命じていたのだが、どうしても気に入るものが出来上がらなかった。

「服では美しい私を際立たせることは不可能なのだ」

 そう結論した王は、自らの肉体を美しくすることに努めた。徹底的に虐め抜き、鍛え上げる。完璧な肉体を作り上げたのだ。

 そしてついに、民衆へ披露できる機会がやってきた。

「王様、せめて下着を!」

「ならん!」

 王といえども法の下に人は平等。公然わいせつ罪で捕まった。


(了)

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自覚的な裸の王様 戸松有葉 @anakamasyouta

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