2日目(タイ滞在1日目)――空港、そこは迷う
飛行機から異国の地に降り立った僕は、さっそく迷いました。
荷物を受け取ったのはいいものの、どこへ行ってなにをすればいいのかが分からない。まだ、入国審査も受けていないのに。
「大丈夫、こんな時は地球の歩き方を……」
そう!
日本を出発する前日に「まあ、参考程度に」と買っておいた地球の歩き方を、実は飛行機の中で熟読していたのです。
でもさすがに、飛行機を降りてからすべきことまでは書いてありませんでした。
日本では、『お・も・て・な・し』という耳に心地よい過剰サンビスが当たり前になっておりますが、海外にそんなものはありません。
困ってしまってワンワンワワン状態の僕。看板を見ても……当然、日本語はありません。英語でなんか書いてあるけど、トイレ以外よくわかりません。
「このままでは、不法滞在者に……」
一人、オドオドマゴマゴしていたそんなとき、CAの集団を見かけました。
彼女たちは皆、何やら楽しそうに歓談しながらなんかこう、受付っぽいところを通っています。香水の匂いをぷんぷんさせながら。
僕はそこへ、まるで今来たかのような顔で並びました。
「た、たまたまスッチーの集団と出くわしたんだからねッ!」
入国審査のおばさんからはまるで路傍の雑草を見る様な顔をされ、出国時に必要な紙っぺらを雑にホチキスで止められたりもしましたが、入ってしまえばもうこっちのもの。
こうして、タイ人顔である僕は、タイに入国しました。
けれどやることはなく、「ゥワ!」と書かれたやたらぺしゃんこのサンドイッチとOISHI-GREEN TEA(本当にあります)なる甘い緑茶(まずい)で小腹を満たし、空港の椅子で仮眠することにしました。夜に外へ出る勇気はなかったのです。
空港からバンコク市内へ通じる電車があるので、それに乗ることしました。
始発が出るまで僕の心の中では、葛藤が起きていました。
「どうしよ、帰っちゃおうかな」
どうなる、チキン野郎。
インドア派のチキン野郎は海外へ行った 犬居 田地 @mayugetty
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