怨霊

Koube

第1話



桜の満開な、春のある日。

俺は、友達を五人連れて一緒に花見をしていた。


桜の花びらが舞う、それを見ながら酒を飲み続けた。

友達はずっと飲み続け、話し続けていた。


「あー…酒ウマ!」

「同意はするけど…飲み過ぎじゃないか?」

そいつの周りには、空になった缶が大量にあった。

これはさすがに飲み過ぎだ、それにそろそろ暗くなってきたし、他の人たちは帰る準備などをしていた。


「おい、もうそろそろ帰んぞ。」

「えーもう少し良いだろー?」

顔を真っ赤にして聞いてくる。

完全に出来上がってやがる。

俺は片づけをして、帰る準備を始めた。


準備が終わった時にはもう、辺りは暗くなっていた。

唯一明かりは街灯のみ、それ以外は近くにあるトイレのみだ。


しかし、暗いな。

誰か懐中電灯を持ってはいないのか?

そんな事を考えていると、知り合いが話してきた。


「あれ?○○は?」

?あいつならさっきまで一緒にいたのだが。

周りを見渡すが、やはり一人かけていた。

「どうせトイレに行って吐きにいってんだろ。」

と話し出す。

確かに飲み過ぎては居たが…何も言わずに行くか?


「少し…心配だな。」

「なら見て来いよ、待ってるから。」

提案してくるB、…そうだな。


「俺はトイレでも見てくる、お前等はここにいてくれ。」

そう言い残し、トイレへと向かう。



近づくにつれ、光が強くなっていく。

その光に反応をして蛾が飛んでいる。


「おーい、○○ー!」

トイレの中で響きわたる声。

だがその返事は帰ってこない。

……居ないのか?

そう思い、戻ろうとした時。



ーーー……………



トイレからか、それとも風で揺れる木々の音か。

何か音が聞こえた。



ーーー…………っ



まただ、だんだんハッキリしてくるが…?



ーーー…………ぁ



声?まだ…トイレからなのか?

俺は、ゆっくりと…トイレの中に入り確認する。


四つの扉の内、一つだけが閉まっていた。



ーーーぅぇぇぇ



あぁ、やはり居るじゃないか。

俺はすぐに扉に近づき、叩く。


「居るなら返事をしろ、まったく…」

「おぇぇぇぇ…飲み過ぎたぁ…」

「外で待ってるぞ?」

「おぅ…うぇぇ」


だから飲み過ぎだと言ったのに…

俺は出口に向かい歩き出す。

そこで、


「お、まだトイレにいたのか?」

「ん、まぁな。あいつ吐いてたからもうちょっと待ってて。」


Bが心配して見に来てくれた。

はは、確かに遅かったな。

そんなことを考えてるとき、Bが首を傾げて話す。


「何言ってんだ?アイツならお前が行ったときには戻ってきたぞ?」



………戻ってきた(・・・・・)?


「いやまて、そんな筈はない。だってあっちで吐いてたし…」

「おーい、見つけたかー?」


と、Bの後ろから来る三人。

その中に、確かにトイレの中で話した、○○の姿があった。

ならば…俺が話した相手とは一体…



     ダレダ?


「……さっさと帰ろう。」

「え?」

「いいから帰るぞ!!」


寒気が止まらない、心臓の鼓動が速くなる。

いや、考えるな。

今は何もカンガエルナ。

今はここから離れよう。


ーーーーーガチャ


 ドクンッ!

心臓が跳ね上がる。

先ほどまで鍵の掛かっていた扉の鍵が開いた。

もうここには居たくない。


俺は簡潔に友達に話した。

あの扉にいる奴は、ヒトではない。

○○の声をあの扉の中で聞いた。

そのことを話した…



ーーーーギィィ…



扉の開く音、あぁ不味い。

俺達は、走り出した。


振り向かないように、走り続けた。

後ろから聞こえる、俺以外の五人

・・

の足音。

一人…多い。


止まるな、走り続けろ。

足が重くなり、心臓の鼓動が速くなり息苦しくなる。

だが…止まってはイケナイ。


何分走り続けたのだろう、息は乱れ、体力は限界だった。

そこで見つけたのは、明かりのついている、コンビニだだ。


助かった、俺達は一目散に入り込んだ。


「はぁ…ハァっ…!」

「…全員いるか…ハッ!」

Bが人数を数える、その内に俺はある雑誌を見つけた。


心霊スポット。


俺はソレを手に取り、読む。

俺の見たかった物はすぐ見つかった。


先ほどの公園は、夜になると公衆便所に髪の長い女の霊が現れるらしい

何故?心霊スポットになったか、それは。

そこで失恋によるショックで首にナイフを刺し、死んでいったらしい。

それから、夜になるとトイレですすり泣く声が聞こえたり

知り合いの声を真似して襲いかかるなどがあるが不明。


「……不幸だ……」

そう、呟かざるおえなかった。



   な  に  が  ?


「!?」



なんだ…何処からだ…まいたはず…


「おっおい……う、後ろ!!」

「ウワァアアアアアア!!!」

知り合い達、コンビニの店員、少ない客。

それら全てが走っていった。

俺は…動けない…

窓のから見える外に、ここから離れる友人が見えた。

イヤだ…行かないでくれ…


    ふ ふ ふ ふ ふ ふ



突如左足を掴まれた感覚、そして。



ーーーーズル


「うわっ!」

足を引っ張られ、倒れ込む。

そしてそのまま、すごい勢いで引っ張られる。


「うわ、アアアァアァァアアアアア!?!?」


俺はそのままコンビニから引きずり出される。

必死に止めようと、地面に指を立てる。



ズザザザザザザザ!!



地面と指が擦れ、指の皮が剥がれ爪も取れる。

血を吹き出す手、イタイ。

引きずられていく先は…


先ほどのトイレであった。


「うあ、ああ…イヤダァ!!」

勢いは止まらない、そしてトイレに引きずり込まれた。





「アァアアアァアアァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!!!」






翌日



とある桜の満開の公園

その公園の公衆便所で、バラバラ死体があると報道された。



怨霊が人を殺す。


それは、寂しさ故か、憎しみか、それは解らない。

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怨霊 Koube @Koube_ruru

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