Section52 嵐と過ごして

 嵐が来た。


 雨風が吹き荒れるそこを、私はただ家の中からぼんやりと眺めていた。


 窓を叩きつける雨に、時折恐怖を覚えながらも、私はそれを好奇心だと感じていたようだった。


 「ねえ、雨いつ止むのかな」


 同じ部屋にいたミノリちゃんは私にそう尋ねたけれど、


 「うーん、わかんない」


 という返答が、ミノリちゃんのその疑問を解決したとは思えなかった。


 「どうしよう、止まなかったら」


 ミノリちゃんが言葉を発したとしても、私はただ窓から外を眺めたままだった。


 「どう、……うーん、そうだね。どうしよう」


 風が窓を叩き、雨が吹き荒れる。雲は暗く沈み、たまに雷が光った。


 「まあ、それを考えてもしょうがないよね。どっちにしたって、今はただこの漫画が面白いよ」


 ミノリちゃんはそう言って、手に持った漫画に視線を戻したようだった。嵐の音の隙間で、ページを捲る音が聞こえる。


 嵐よ、止まれ。


 心の中で、何の救いにもならない願いをした。


 それでも嵐は、ただ吹き荒れるばかりだった。


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すぐ読める 「直感」純文学 古びた町の本屋さん @yuhamakawa

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