人工知能とボディガード、そして時々グレブナー基底
グレブナー基底大好きbot
第1話
彼女の名は
さて、ここはどこか。場所的には、日本国北関東地方にある世界有数の巨大研究施設
「ここが……博士の部屋デアルか……」
フイフイは右手に付いた返り血を少し拭き取ってトントンと二回ノックをした。どうぞ、と自動で開いたドアの中から出てきたのは、白髪に顔じゅうヒゲだらけのいかにも博士っぽい老人だった。
「ようこそ、いらっしゃった。フイフイさんですな?」
「いかにも、デアル。」
「早速じゃが、あなたには、わしのことを、テロ組織『
フイフイは、そう言う博士の腹に一発蹴りを入れる。
「うぼお!!」
博士がおそらく今まで出したことのないような、おそらくこれからもないような、うめき声を上げる。
「な、なぜ……」
「お前、ガンダーラ博士デナイね。」
「なん……だと」
「外にあんだけ
そう言ってフイフイは、博士(偽)を10メートル先まで蹴り上げる。そしてそのまま博士(偽)は意識か命を失った。
「さて、本物はどこデアルかね……」
フイフイは周りを見渡す。この研究室は思ったより広い。あたり一面に怪しげな機械装置が置かれていて、ビームとかレーザー的なものが普通に空中を飛んでいる。他にも、赤いレバー付きのぐにゃぐにゃした波形が表示されている大型ディスプレイや、『危険!絶対触るな!』と書かれた絶対触ってしまいそうな脳ミソ的なものが浮いている水槽なんかがあった。そんな一日中いても飽きないような、一時間足りともいたくないような博士の研究室の中で、
「これは……なにデアルか?」
フイフイは、白いデスクの上の、一辺が1メートルくらいの黒い立方体を見つめる。箱ようなその物体には中を開けるような箇所などなく、表面も滑らかで何か書いてあるというわけでもない。フイフイが手を触れようとしたその時だった。
「来てくれてありがとう。」
箱の方から声がした。フイフイは驚いて、迎撃態勢を取る。
「誰デアルか!」
「はは、驚かせてしまったね。私はガンダーラ博士だ。」
「ガンダーラ博士……?」
フイフイは警戒しながらも、箱にところに戻る。
「ごもっとも。私は私を助けてほしくて、君、
「まさか、ガンダーラ博士とは、この……?」
その時、机の下の扉が開いて元気よく男が飛び出した。
「本当に来てくれてありがとう!!初めまして、稀代のイケメンであり天才科学者の
フイフイは、急に開いた扉と衝突した自分の
「今日の天気は何デアルか?」
「えーと、ジョージ・マッケンジーかな?」
この男、本物だ。フイフイは、心の中でそう呟いた。ジョージ・マッケンジーは、フイフイの大好きなハリウッド俳優の一人であり、依頼人かどうか確認するための合言葉にも使っているほどだ。ちなみに、『今夜の晩御飯は何デアルか?』と聞くと、『マイケル・アンダーソン』と答えるのが正解である。
「本物みたいデアルね……」
「だから、言ってるじゃないか!僕がガンダーラ博士だ。いやあ、大変だったよ。いきなり、テロ組織『
「で、守ってほしいのは、お前でいいデアルか?」
フイフイはおしゃべりは好きでない。5秒話している間に少なくとも50人は殺せるからだ。そんなフイフイの期待に反し、博士はかぶりを振る。
「いいや、君に守ってほしいのは、このグレブナー基底計算を基本アルゴリズムとした自律型多機能AI、通称、
そう言ってガンダーラ博士は、先ほどの黒い箱を指差す。立方体は沈黙を保っている。部屋には二人のほか誰もいない。
「ベイシス……?」
戸惑うフイフイに構わず博士は続ける。
「この人工知能が世界を滅ぼすまでの49日間、君にこの子を守ってほしい。」
人工知能とボディガード、そして時々グレブナー基底 グレブナー基底大好きbot @groebner_basis
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