そこにあるのは、一つの神話。

いくつもの勢力が入り乱れ、各々の野望のために争いを繰り広げる。
そこには神も人も獣も虫もない。果たしたい目的を果たそうとする意思と意思が、ひたすらにぶつかり合うだけ。
とても壮大な世界観を背景に、力と欲望がしのぎを削るこの作品は、とても読み応えがあります。筆者様の分厚い辞書のような語彙と緻密な表現に彩られて、雄大かつ荘厳な物語となっております。
特に戦闘中の描写などは、テンポの速い文章とあいまって、興奮すら覚えました。

しかし世界が大きすぎて、浅慮で無学な私は、劇場で一番後ろに座っている観客のような気持ちでした。別の世界のおとぎ話であり、何が起こっているのかいまいち把握しきれなかったのです。
お恥ずかしい話ですが、用語集や世界観の説明など、設定資料が欲しいと思ってしまいました。人類の国家、神々の勢力図、世界地図など、視覚的に整理できる情報源が欲しくなったのです。
似通ったタイトルの作品があと3つほどありますので、そちらを読んでいけば分かることも多いかもしれません。そのため現状では、という注釈つきになりますが、物事が短い間に大きく動きすぎて私の小さな脳みそでは理解の範疇を超えてしまっておりました。
これから妖精城のワルキューレ、天空のワルキューレ、冥界のワルキューレも読んでいきたいと思いますが、少しばかりノートに整理していかなければならないかなと思っております。
文章だけでなく、アニメーションや絵など、そういったものがついてこの世界観を楽しめるのであれば、お金を払ってでも読んでみたいなと思います。