第9話 問題解決!俺がチームリーダー?

【前回のお話】

 退屈な雨の日。神人の一言から始まりバケツの言葉でチーム結成まで発展。チーム名は『FC7S』。活動内容は人助け。会長が置いた目安箱を確認した神人。そこにはイジメで助けを求める紙切れ。序盤から難題にぶつかる神人達。まずは状況を把握するためミカンにVCでの調査をさせることとなった。


【生徒会室】

 FC7Sメンバー全員がテーブルについた。ミカンに結果を聞く神人。

「ミカンちゃん新堂クンの状況はどうだった?」

「え~とですね。暴力的なイジメじゃないようです」

 それを聞いたメンバーは一先ひとまず安心した。ミカンは話を続ける。

「物が無くなったり、教科書に落書きなどされてるようでした。やった犯人はよくわかりません。VCにはうつりませんでした」


 なるほどな。不特定多数がやったとなるとクラス全員を調べないとわからない。ミカンちゃん1人だけでは時間がかかるな。

 神人が考えている時、会長が意見をいった。

「やっぱり先生に言うのが良くないかな?」

「それでもいいけど一時しのぎだろう。それに先生に聞かれてもハイ自分がやりましたって答えるやついないと思うぞ」

 神人の言葉にバケツがつぶやく。

「現行犯逮捕しかないよな」

「う~んVCで調べれば犯人はわかるけど証拠がないわよね」

 確かに葵の言うとおりだ。VCを見せれば証拠になるけど、秘密にしなければならないしな~。バケツが言うように現行犯逮捕できればいんだが・・・。

 あれ?何かが引っかかる。神人がそう思っている時、巫女の発言。

「神人先輩。VCて未来が見えるから犯人の先回りをすれば良いのでは?」

 全員がいきなり席をたつと同時に叫んだ。『それだ!』

 何かがモヤモヤしてたけど巫女ちゃんのおかげでスッキリした。


「それじゃ犯人を特定して犯行時刻を突き止めないとな。またミカンちゃんお願いするよ」

「任せてください。でも少し時間かかるかも~」

「もう解決したも同然だし、ゆっくりで大丈夫よ」

 葵の言葉に皆も大丈夫だろうと思った。


 そして数日が過ぎた頃。犯行時刻が放課後の16時とわかった神人達。現場となる1-A教室横の階段に待機し見張っていた。同じ1年のミカンと巫女は八つ当たりに合わないよう生徒会室で待機。新堂クンの机の場所は聞いている。あとは犯人がイタズラしたところをおさえるだけだ。

「そろそろ時間だな」

「さっき教室を確認したら男子二人いたわよ」

 と葵が状況を知らせる。神人は時刻になったので教室をのぞく。すると新堂君の机から教科書を取り出している二人。何やら書き込んでいる。神人は教室へ踏み込んだ。

「お前たち何してる!それはなんだ?」

 神人は教科書を指して質問する。二人は『ヤバっ』と言うと教室から逃げようと入り口へ駈け出した。2つの出入り口を固める葵、会長、バケツ、ワンコ。

 会長が叫ぶ。

「生徒会よ!おとなしくしなさい!」

 クソ~といいながら観念する二人。

 

 神人は教科書を持ち二人へ近づくと質問する。

「これ誰の教科書だ?お前たちのか?」

 神人の質問に1人が応える。

「そうだよ。それがどうした」

「ほ~お前は自分の教科書に落書きするほど勉強きらいか?お前名前は?」

 その言葉に沈黙する二人。

「教科書には新堂て書いてあるぞ。お前は新堂なのか?」

 苦しまぎれに一人が言う。

「そうだよ。悪いか!」

「そうかそうか悪いことしたな新堂君。だが顔が違うな~」

 そう言うと神人は新堂君の写メを二人に見せた。動揺する二人。

「語るに落ちたなw佐藤と鈴木!」

 神人は二人を指差しさけんだ。

「近藤だ!佐藤てだれだよ!」

「かすりもしてね~よ!俺は石田だ!」

 あれ?そうだっけ?まあいいか白状したしなwここは上手く誤魔化しておこう。

「わざとだよ。こう言わないと、お前たち素直に名前いわないだろ」

「神ちゃん!太郎と花子じゃないの?」

 真顔で言う会長。お前もか!と言いたいが俺も人のこと言えんからなw

「会長~ソドムとゴモラっしょ!」

「先輩。人の名前で遊ばないでくださいよ~」

 ワンコのダメ押しに二人はしょげる。神人は話を続けた。

「色々と噂を聞いてな。お前達は前から生徒会に調査されてるんだよ。あきらめるんだな」

 それを聞いた二人は下を向き『すみませんでしたと』謝る。

「さてどうしようかな。教頭に言えば多分お前たち退学だろうな」

「申しません!退学だけはいやです!」

 神人は脅すと二人は何度も平謝りする。そんな二人に腹が立つ神人。

「お前たちな~虫が良すぎないか。新堂君も落書きなどのイジメを受けて嫌だったはずだぞ。自分が嫌なら相手も嫌なもんだ。少しはその気持を考えて行動しろよ」

「はい!わかりました!許してください!」

「神人。この二人どうする?口だけ謝ってもわからないわよ」


 葵の言葉に考える神人。そうだな~多分、口先だけでまた繰り返すだろうし、ここは証拠をとっておくか。神人は携帯を取り出すと二人に伝える。

「お前たち今から動画とるから教科書もって並べ!そして自分たちがやりましたと謝罪しろ。わかったな」

 二人はいうことを聞いて謝罪した。動画をとり終えた神人は念を押す。

「俺達の耳にまたイジメの噂がはいったら、お前たちの親と先生にこれ見せるからな。二度とするなよ」

「はい!絶対にしません」

「よし!それじゃ俺たちは生徒会室に帰ろうか」

 そう言うと神人、葵、会長、ワンコ、バケツは教室を出て行く。


【生徒会室】 

 ミカン、巫女、新堂クンが部屋で待っていた。神人は結果を伝えた。

「話はついた。これでイジメは無くなるだろう。新堂君はイジメてる相手が知りたいだろうけど我慢してくれ。知ればわだかまりが出来るし、学校生活がやりにくいと思う」

 その言葉に新堂クンが応える。

「そうですね。先輩の言うとおり気になると思うし、平穏になるなら知らない方がいいですよね。皆さん色々とありがとうございました」

 新堂クンは皆に頭をさげた。

「コレにて一件落着~だね神ちゃん!」

「そうだな。まあニャンコの出番は少ないけどw」

「神ちゃん、それは言わない約束でしょう」

「今回はミカンちゃんが大変だったよな~」

「そうだなバケツ。同じクラスのミカンちゃんがいたからこそやれたけど、これ1つ間違えれば難題だったぞ」

「そうでもないですよ~。チームFC7Sならどうにかしてやれたと思いますよ」

 謙遜けんそんするミカン。そうだな~暴力的なイジメでも抑えることはできたかもしれない。方法としては相手の弱みをVCで突き止め口封じだが・・・。方法はあるにしてもイジメ問題だけは避けたいと思う神人だった。


「それじゃチーム達成を記念して乾杯しよ~」

 とワンコが言い出した。

「賛成~神ちゃんジュース買ってきてよ」

「なんで俺なんだ?リーダーは会長の役目だろ」

「わたし生徒会長だよ!FC7Sのチームリーダーは神ちゃんでしょ」

 なぜかいつも代表で話す俺がリーダーになってる!それもみんなうなずいてるし!この状況は多数決しても同じだろうな~。神人はあきらめた。

「わかったよ。オゴッテやるからニャンコ俺のミルク飲めよ!」

 そう言うと生徒会室を出て行く神人。冷たい視線が背中へそそがれる。

「わーい。神ちゃんのミルクのむ!のむ~」

 おごりなら何でもいい会長は喜ぶ。


 葵・ワンコ(またセクハラだわ!)

 ミカン・巫女(俺のミルクって?美味しいのかな?)

 バケツ(神人!おまえ神だな。俺は怖くて言えんわ)


「最近カルシウム不足だし俺とニャンコは牛乳でいいか。あとはコーラだな」

 購買横の自販機でジュースを買って戻る神人。

「買ってきたぞ!俺とニャンコ以外はコーラな」

 そう言って神人はテーブルに置く。各自ジュースを受け取った。

「それじゃ初のチーム達成を祝してカンパーイ!」

 皆はジュースを飲み始めた。

「ニャンコ俺のミルク美味しいか?」

 神人は牛乳を飲みながら聞いた。

「神ちゃんのミルク美味しいよ!」

「神人のバカーーー!」

 ワンコの右ストレートが神人の顔面へヒット!『ブーーー!』神人は会長の顔に牛乳をぶちまけた!

「神ちゃんミルクもったいないよ」

 顔の牛乳をナメる会長。それをみたワンコは泣き叫び部屋を出て行った。

「神人のアホーーー!」 

「バカとかアホって、俺が何したんだよ!」


 巫女とミカン(神先輩なにしたんだろう?) 

 葵(セクハラだわ!セクハラ大魔王だわ!)

 バケツ(神人。そのプレイを自然にやるとはお前は神だ!)


 ワンコを怒らせた神人。フラグが立っている。通常どおりこのまま行くか?それともワンコ路線へ切り替えるのか?運命の分かれ道。




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バーチャル・チョイス~未来を変える生徒会~ 高見 雷 @taka-mirai

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