旧地球第一章 神の予想はまた外れる

陽の光で目が覚める。未だに硬い土の上で寝るのは慣れない。昨日の残りのシチューを食べて、自転車に乗る。目的地まであと少しなのでペタルを踏む足も力が入る。7年前に死んだ世界はとても静かで、少し肌寒かった。


2056年、今から7年前に人類の作った社会は完全に死んでしまった。石油が尽きたのである。ずっと昔から尽きると言われてきたが、人類はまたいつものように何処かに石油が湧くと考えて楽観視していたため対処が致命的に遅れてしまった。なくなるまで20年を切った頃から騒ぎだし、様々 な措置を取ったが手遅れだった。


石油が底を尽き始めると国連は石油をかき集めて、世界中の島国や離島の人々を保護するための大陸への移住計画を立てて実行した。日本も例外ではなく、国民の殆どが大陸へと移住した。

しかし、日本に残りたい人も少なからず居て、そういう人たちは政府の目を掻い潜って日本へ残った。


俺もその一人である。名前は長谷部 圭人はせべ けいと現在23歳。両親に早く死なれた俺は、この地に骨を埋めたかったので移住計画が実行されている中俺は山に篭っていた。その後は他の残った人々と交流をしつつ、日本中を旅していた。


外の世界の情報は手回し式のラジオ

から得ていた。しかし嘘か本当かわからない情報も多く、第三次世界大戦が始まったとか、星が急に増えただとか、宇宙人が来ただとか馬鹿らしくなるような情報もラジオから流れてくる。しかし、そのラジオはこの夏から同じことしか言わなくなった


それは座標だった。場所は山口県の日本海側の海岸線を示していて、大陸からの漂流者からのSOSかもしれないと思った俺はそこへ向かうことに決めた。だが運悪くその時俺は東北の方にいて、到着した頃は秋になってしまっていた。


「三ヶ月かけたのに何も無かったらただじゃおかないからな。」

誰に言うわけでもないが、悪態を吐く。


「もし漂流者なら、大陸からの情報が欲しいところだ。最近はラジオからデマばかり流れてくるせいで何もわからん。」


やっとこさ指定の場所まで来ると、そこにはただ砂浜が広がるばかりだった。


「流石に遅すぎたか。まだどこか近くにいるといいが。無駄足にはしたくないしどうしようか。」

悩んでいると水平線の先が少し光った気がした。

「そうか!船での遭難者か。オールでも壊れたのか知らんが、3ヶ月も遭難してたらまず助からんだろう。桑原桑原。」


しかしその予想も外れる。その船は恐ろしい勢いでこちらに近づいてきたのだ。否、それはよく見ると船ではなく、子供の頃に何処かで見たようなUFOそっくりだった。そのUFOは目の前で止まり、扉が開いた。中からは人みたいな格好をしたトカゲ面の奴らが4、5人でてきた。そこで俺は間抜けにも、

「あなた達は宇宙人ですか?」

と聞いてしまった。

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